■日本式コンビニの創始者・鈴木敏文氏
セブンイレブンの創始者・鈴木敏文さんが93歳で亡くなりました。
鈴木さんには、たくさんの刺激と気付きを学ばせてもらいました。
特に印象深く記憶に残っているのは、2002年発刊した書籍『鈴木敏文の「統計心理学」』(「仮説」と「検証」で顧客の心を掴む)をワクワクしながら読んだことです。
「仮説・検証」という言葉が“マーケティング”の世界で定着するようになったのは、この書籍が出てからのことだったように思います。
それ以降は、新聞記事や雑誌に掲載されている鈴木さんの記事は、極力ウォッチングしてきました。
当書籍の巻頭に書いてあった言葉を紹介します。
我々凡人はその都度「自分にとって都合のいい当たり前」を使い分けてしまうのに対し、鈴木氏は「お客にとっての当たり前(顧客起点)」に一貫してこだわり続けてきました。そして彼は“コンビニを社会インフラに!”を目指していました。
日本のコンビニで初めて手掛けてブレークさせたものは数限りなくあります。
「24時間営業」「POSシステム導入」「単品管理」「共同配送センター」「ドミナント戦略」「おにぎり革命」「セブン銀行」「セブンプレミアム」などなど。
鈴木氏が「オムニチャネル」をキーワードに事業展開(オムニ7)を始めた時には、非常に期待しました。2016年に自ら発議した伊坂社長更迭案が、イトーヨーカ堂の創業・伊藤家の反対にあい、否決されて2016年に辞任、潔く表舞台から身を引きました。その後は伊坂社長が主導して推進仕掛けたのですが、鈴木氏のような仮説・検証しながらの柔軟な舵取りができずに失敗してしまいました。オムニチャネル戦略責任者は鈴木氏の次男でしたが、しばらくして彼が責任を取って辞任しました。
コンビニの絶対的No.1企業セブンイレブンが徐々に独自性をなくしていき、今では厳しい環境に晒されていますが、「もし鈴木体制が継続していれば、オムニチャネル戦略を変幻自在にセブンナイズ化して、今では世界一のオムニ企業になっている」と今でも思っており、非常に残念でなりません。
鈴木氏の著書「働く力を君に」という“今からの若者へのエール”を纏めたシートをだいぶ前に作成したので付けておきます。その中にある最も印象的な言葉は、『人は生き方において2つの矛盾する顔を持っている。それは“困難であっても挑戦しようとする自分”と“本能的に我が身を守ろうとする自分”という顔である。』『仕事(人生)で何らかの壁にぶつかった時、状況は個人個人によって違うため、解決策に正解はなく、自分の頭で答えを導き出し、自分で仕事の仕方(人生の生き方)を見つけていくしかない。』の二つで、“なるほど”と思いました。
稲盛和夫氏、野中郁次郎氏、鈴木敏文氏など、私が長期間ウォッチングさせてもらった事業経営の巨匠が、次から次へと歴史上の人物になっていくのを寂しく思っています。
心より御冥福をお祈りいたします。