■新たな学校教育のあり方

先日、ウェブで面白い記事を見つけました。
『経営者になり気付いた「多くの意見」に潜む罠。24歳のリーダーが捨てた常識』
株式会社“吉開のかまぼこ” 代表取締役社長 林田 茉優さん
2020年3月、福岡大学経済学部卒。阿比留正弘教授(2023年8月没)の「ベンチャー起業論」を受講したことをきっかけに事業承継問題に興味を持つ。廃業寸前だった福岡県みやま市の老舗「吉開のかまぼこ」の復活に向けて奔走し、引継先のマッチングに成功。2021年12月、指名されて自らが4代目社長に就任。
『2018年に後継者不在で休業、廃業危機を迎えた老舗かまぼこ店を救ったのは、大学のゼミで起業論を学び、同社を支援していた若者でした。2022年、24歳で社長に就任すると恩師や多くの人に教えを乞いながら組織を変革していきます。』のような記事を読んで非常に驚き、また感銘を受けました。▶経営者になり気付いた「多くの意見」に潜む罠。24歳のリーダーが捨てた常識 | BizHint(ビズヒント)- クラウド活用と生産性向上の専門サイト

先ず、こんな発想をする阿比留教授が九州(福岡大学)にいたことに驚くとともに、ウェブで調べてみました。
阿比留教授は「ベンチャー起業論」を創設し、「講義をクラブ活動にしたらいい」という考えで、カルキュラムに落とし込んだのがベンチャー起業論。このゼミでは、阿比留教授はメンターとして活動、学生が主体となって運営しているようです。
ベンチャー起業論とは『学生が自分の人生におけるビジョンやミッションを見つけ、企業や社会の問題発見、問題解決などの経験を自分の人生で活かし、「情熱」をもって社会で行動し、幸せに生きることのできる学生を増やしたいという想いからつくられた講義』だそうです。
基本的な考え方は、『困っている人がいたら、その人が抱えている問題を解決して助けてあげる。それが私にとってのビジネスの基本です。世の中には儲けることばかりを考えている人がいますが、自分ばかりが儲けようとしているうちは、困っている人を本当の意味で助けることはできないと思っています。困っている人をどうにかしてあげたい、そう思うことが、実は自分を生かすことにつながっているのではないでしょうか。私の使命は、そのような自分の考えを学生に伝えることです。』とのこと。
先ずは学生が自ら実際の企業活動の中に入って学び、課題を抽出し課題解決に全力を注ぐことで、当事者意識を醸成するという学生教育(社会教育)です。
協力企業とゼミ学生との合同説明会で、以下の印象的な話をしています。
ベンチャー起業論の目的としては、社会に出てから経験するであろう事を大学時代に出来るだけ経験させたいというのが基本的な考え方なんです。実は、社会の常識と大学の常識は凄く違うんですよ。大学とか学校というのは絶対やっちゃいけないのがカンニングなんですね。ところが社会ではカンニングという言葉も無い。社長が出来ない事を優秀な社員に代わりにやってもらっても、替え玉(学校の入試でいう替え玉入学)とは言わない。社会では不正はやっちゃいけないけど、教育したり、参考書類を調べたり、他人の知恵を集めたりすることはやらなきゃいけない。
社会問題というのはカンニングして解決できるような簡単な問題じゃないです。みんなが総力戦でやってはじめて解決するようなものばかりじゃないかと思うんですよ。このベンチャー起業論の取り組みで僕がやっていきたいのは、企業さんも出せるものは全て出してもらって、学生も出せるもの全て出して、本当に会社と学生が一丸となって総力戦でやってもらいたいなと思っています。
実は、共育塾17期生に入塾中の九州電設・高場君が、当記事に書いてある阿比留正弘教授の教え子で、同様の指導を受けたようです。
高場君に話を聞いたところ「林田は私とともに阿比留教授から学びました。いつも先生からは無理難題を、私や林田に相談されることが多くあり、上手に火を焚きつけられていました。その中で、林田には事業承継のテーマについてのテーマを与え、私にはインバウンドと地方創生のテーマを与えてもらいました。若者の力で社会を本気で変えようとアプローチを試みていました。」とのこと。
高場君は、メンターである九州電設・穴井会長の下で、新規事業“暮らしのお困りごと解決!「くらしのドクター」”事業部を自分で立ち上げて、売上も増やし採算が合うところまでもってきています。部下も新規採用で増やしており、この1年での彼の変化・成長を楽しみにしています。
今までとは異なる「学生教育(社会人教育)のあり方」ではないかと思いました。
ますます強く“時代の変化”を感じています。