■デジタルを見極める
最近の日経ビジネスや日経新聞などに「メタバース」「ウェブ3」「チャットGPT」に関する情報が頻繁に掲載されています。
特に、日経新聞“やさしい経済学”、『「デジタル」を見極める』が7回シリーズで連載されました。京都大学特任准教授・山本康正(ハーバード大修士、東京大修士:専門は技術経営・未来学)の連載記事で、最近の米国と日本で学んだ「若手バリバリ」の意見は、知っておく価値があると思いチェックしました。
概要は「日本は技術ビジネス音痴」「根源的な悪影響は前例主義や年功序列」だそうです。「ゲームチェンジが起きた際、その技術が社会に浸透するかどうかを見極めるにはどうすればよいか。質の高い意思決定とはどのようなものかを考えます。」との記事です。
連載記事に書かれている内容を整理しておくと、
⦁ 「メタバース」については、フェイスブックが会社名を「メタ」にまで変えたものの、概念が先行しテクノロジーの実態が伴わないために、米国ですら早くも停滞フェーズに入っているとのこと。ザッカーバーグのコメントも大きく変わってきて、チームメンバーの縮小もやっているようです。
⦁ 「ウェブ3」についても、本質は15年ほど前に誕生したブロックチェーン技術で構築された仕組みであり、NFTやDAOのコンセプトは目新しいものですが、成功事例?は非常に少ないとのこと。(詐欺やペテンが渦巻くウェブ3プロジェクトという話題もあるようです)
⦁ 「チャットGPT」とは、オープンAIが2022年11月に公開したチャットボット。オープンAIのGPT-3ファミリーの言語モデルを基に構築されており、教師あり学習と強化学習の両方の手法で転移学習されているようです。
グーグルのピチャイCEOが「検索サービスの脅威になるかもしれない」と述べており、マイクロソフトがオープンAIに巨額投資しており、一時の流行では終わらないと技術だと考えられるようです。クラウドとビジネスソフトに強みを持つマイクロソフトが、オープンAIの開発基盤であるGPTモデルを利用して、巻き返しを図るのではないかといわれています。
今後の課題は「誤りや悪用の危険性が高いこの技術を、倫理的指針をもって扱えるかどうか」のようです。
メタバースについて。
2月16日のフィナンシャルタイムスに、コラムニストがタイトル「メタバースはいずこへ」を投稿。
メタバースのリアリティラボ事業部門(ヘッドセット製造販売)が昨年137億ドル(1.8兆円)の営業損失を出し、メタの株主はメタバースへの関心を失っていることから、ザッカーバーグCEOは「メタバースは我々の事業の大部分ではない」(以前は将来メタバース事業に移行すると公言)と発言したり、EU域内での1万人採用もうやむやにしている。
またマイクロソフトも「インダストリアル・メタバース・チーム」を立上げ4カ月で解散し1000人解雇したとのこと。
コラムニストは「メタバースは本当の意味で始まっていない。と同時に既に終わってしまっていたのである。」と結んでいる。
また日経ビジネスの最新号(3月6日号)にも特集「メタバース幻滅の先に」と採り上げられています。