■追悼 稲盛和夫①
8月30日夕方、自宅に戻った際に家内から「稲盛さんが亡くなった」と話を聞いて、大きなショックを受けました。
稲盛さんは、技術出身の世界的経営者であり、非常にたくさんの勉強をさせていただきました。私が若い頃に読んだ、松風工業時代、京都セラミックを創業した当時の話から始まり、名前が出ている記事に接したら必ず読んで、その生き様(稲盛思想の原点)を理解する努力をしてきました。書籍や抜粋記事ファイルなども、いろいろ保管しています。
「私の価値観に影響を与えた10人」の中の一人でもあります。
共育塾においても、50代の頃の講演録「経営と心」(若手経営者向け講演)を紐解いた話をしたりと、折に触れて活用させてもらっています。
稲盛氏の追悼記事が、いろんな媒体を通して発信されましたが、多様な経営者の捉え方など、私自身が「なるほど!」と思った記事が見つかりました。記事の題名は『「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫と松下幸之助には数々の共通項があった』というJBpress関慎夫氏の執筆記事で、3回に分けて紹介します。
「日本を代表する経営者」のタイプ
「平成の経営の神様」稲盛和夫が亡くなった。90歳だった。また一人日本を代表する経営者がいなくなった。
「日本を代表する経営者」にはさまざまなタイプがある。例えば、ソニー創業者の井深大やホンダ創業者の本田宗一郎などは、モノづくりの天才だった。2人とも数多くのヒット商品を生んだが、マーケティングによって消費者の求めるものを察知したのではなく、自分のつくりたいもの、自分の欲しいものが、消費者の欲望を喚起し、市場を開拓したところも共通する。しかもそろって経営には無頓着で、井深には盛田昭夫、本田には藤沢武夫がいて、それぞれ二人三脚で会社を発展させたところもそっくりだ。
日本の消費文化を大きく変えた2人といえば、ダイエー創業者の中内功とセブンイレブン創業者の鈴木敏文だろう。価格決定権は消費者が持つべきという中内の思想は、日本の小売業に革命を起こした。24時間365日営業の店舗を全国津々浦々に行き渡らせた鈴木敏文は、日本人の生活様式を大きく変えた。
現代の日本を代表する経営者として、よく名前の上がるのが、ファーストリテイリングの柳井正とソフトバンクグループの孫正義だ。2人とも飽くなき事業欲を持ち、一瞬たりともその歩みを止めようとしない。孫は「経営ほど楽しいゲームはない」と語っていたが、彼らは心底、会社経営と事業拡大を楽しんでいる。だからバトンタッチをしようとしても、結局は自分が再び最前線に戻ってしまうところもよく似ている。
このように、日本を代表する経営者はいくらでもいるが、「経営の神様」と呼ばれた経営者は、稲盛と、「昭和の経営の神様」である松下幸之助の2人以外にいない。そしてこの2人には共通項は多い。(次回に続く)