■「ロシアのウクライナ侵略戦争」考①
2022年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、今のところまだ現在進行形の状況にある。
当初ロシアの目論見は3日間で首都キエフを占拠して、ロシアの傀儡政権づくりを始める予定だったのが、さまざまな想定外のことが起こっており、3月5日段階では首都キエフまで至っていない。
真偽は不明だが、「オリンピック閉会式(2月20日)後にウクライナ侵攻を始め、パラリンピック開会式(3月4日)前には終息させる」という密約が、ロシアと中国の間で交わされていたという話もある。
今後の展開がどうなっていくかは全く読めないが、最悪の場合は第3次世界大戦の勃発、最良の場合はプーチン失脚(暗殺)になっていくのではないかと想像できる。
現状に至るまでの、ロシアの軍事侵攻計画に関する「ロシアにとって想定外だったこと」について述べてみる。
①2014年のクリミア侵攻の時と同様な戦略で、容易に政権転覆が図れると思っていたが、この8年間でのウクライナ政権の体制強化を認識していなかった。
2014年はウクライナ騒乱(ユーロ・マダイン革命)が発生し、当時の新ロシア派大統領がロシアに亡命、新たな政権が発足した。それにかこつけてロシアが、「ロシア住民の虐殺を止めるためにクリミア半島を侵略する」との理由付けをして、強引にウクライナ南部にあるクリミア自治共和国を一気に併合した。(国連裁定を無視してロシアが勝手に既成事実化したため、もちろんウクライナ政権は認めていない)
この時西側諸国はロシアを非難し懲罰を科したが、ロシアの論理がゴリ押しされたままで収束に至っている。従ってクリミア半島は現在ロシア領と既成事実化されている。(国際法上は不法占拠となる)
② ロシアの常套手段の第3段階戦術が今回は通用しなかった。
常套手段とは、第1段階:非軍事で事前の仕掛け(サイバー攻撃やスパイ活動でデマを流し社会混乱を引き起こす)⇒第2段階:軍事挑発(国境付近に大量の軍配備・軍事演習をすることで圧力をかける)⇒第3段階:軍事衝突(第1段階で仕掛けたことを軍事活動の理由付けとして軍事衝突を引き起こす)やり方である。
ところがウクライナ側の軍備訓練や装備の準備が想定以上に進化していたこと、情報対応力がSNSの進化と各種改善により高まっていたこと、それに世界の大多数がウクライナ支援に回りサイバー軍の強化が広がっていったことなどがある。ウクライナ侵攻を受け、世界的ホワイトハッカー集団結成がされ、加えて国際ハッカー集団「アノニマス」も、「ロシア政府を標的に作戦を実行する」と宣言したとのこと。
③「ウクライナは同胞であり、別の国になっていることが異常であり、当然ロシアと一体化すべき(東ウクライナ的発想)」というロシア側(プーチン)の独善的な意識に対して、「ウクライナは独立国であり、ロシアとは別の国であり、ロシアの配下に置こうとする試みは国際法上もおかしい(西ウクライナ的発想)」というウクライナ側の常識的な意識との隔たりが拡大しており、ウクライナ現政権はEU加盟そしてNATO加盟を目指しているようである。
問答無用のロシアのスタンスは、『「約束は守る」が信頼関係の基本』を完全に覆す暴挙である。今回のロシアのやり方だけでなく、中国のやり方も類似性を感じざるを得ない。「香港の一国二制度」「ウィーグルやチベットの強制的同化政策」「南沙諸島問題(自国領土主張⇒一方的埋め立て(観光地化)⇒軍事拠点化」による既成事実化、や「台湾問題」「尖閣諸島の領有権」などは、ロシアの常套手段の第1段階(非軍事で事前の仕掛け)と同じであり、今後の中国と台湾・日本の関係性も危惧される。
2週間後に、『「ロシアのウクライナ侵略戦争」考②』を書くつもりであるが、世界情勢が好転していることを期待したい。
次回に続く