●般若心境を諳んじるまで
般若心経に関して現在保有しているものを調べてみると、書籍が5冊とCD1枚が残っている。写真掲載の通り「般若心経入門(松原泰道)」「寂聴般若心経(瀬戸内寂聴)」[般若心経でこう生きる(ひろさちや)」「ひろさちやの般若心経88講」「般若心経生き方のヒント(ひろさちや)」の5冊と、CD「百歳で説く般若心経(松原泰道)」である。購入時期を調べてみると、自分の人生を深く考えたい時期に、般若心経に関する書籍を購入しているようである。

最初に買ったのは、「般若心経入門」(1983年頃購入)というベストセラーで、台湾から熊本に帰国して平田機工に入社2年目だった。当時の平田社長(故人)の個性に圧倒された上に、企業体質にもカルチャーギャップを受けて悩み、全てにおいて試行錯誤をしていた時期であり、とにかく自身の突破口づくりに「般若心経」を読んでみたかったのだと思う。
平田機工在職中に「会社を辞めたい」と悩んでいた時期が2度ほどあり、1回目の時期に「寂聴般若心経(1989年頃)」を購入、そして2回目の時期に「般若心経でこう生きる(1991年頃)」を購入したようである。


そして覚悟決めて1995年に脱サラし、「新たな自分づくり(中小企業診断士を目指す)」を始めた頃にも2冊購入している。中小企業診断士の資格を取得し、順風満帆で仕事も増えて、休日なしで働いていた時期に、ふと生き方の見直しを考える必要を感じてCD「百歳で説く般若心経」(2006年頃購入)を買っている。その後、「次世代人材育成の場づくり」を始めて、地域診断士研究会を立上げ(2006年:支援人材育成)、若手経営者塾・共育塾を立上げ(2007年:若手経営人材育成)と立ち上げていった。そして次世代人材の集団化を8つほど立ち上げていき、ありがたいことに今でも殆どが活動を継続している。
その絶頂の中、2010年に難病(2割だけが社会復帰できる)に罹り大手術を行って、その後半年間入院生活を送った時期がある。その時に「般若心経を諳んじるようになりたい」と思い始めた。「入院期間中に時間はいくらでもあるので、退院するまでには必ず実現する」つもりだったが、「退院してからも自宅療養の期間が十分ある」などと自分に言い訳をして、やはり怠け癖に負けてしまい当初の目標を達成できないまま徐々に現場復帰して、いつの間にか元の忙しい世界に戻っていった。一方で、自分が立ち上げたものを次世代にバトンタッチする必要性を感じたため、私が集団化したものを徐々に引き継いでいった。

その後、次世代へのバトンタッチも終えたこともあり、2015年に古希を迎えて「新たな生き方(本来の自分を生きる)」を模索していく中で、2018年12月から近所にある浄国寺の座禅会(毎週木曜日夜)に参禅することに決めて以来、ほぼ毎回参禅している。この縁で、参禅後に住職と参禅者一同が「般若心経」と「普回向」を唱えるようになって2年が経った。だいぶ読経に馴染んできたこともあり、今年になってから「般若心境を諳んじるようになりたい」という思いが強くなり、単なる希望でなくその覚悟もできた気がする。

 コラムに書いている「般若心経の横山解釈づくり」と合わせて、朝散歩の時に5回復唱を行うことを継続してきたところ、不思議なことにこの1カ月間で急激に暗唱力が高まるようになった。
後期高齢者となり記憶力も低下し、いろんなこともすぐ忘れてしまう私ではあるが、本気でやる覚悟をすると「努力は報われる!」ということを、この歳になって実感した次第である。