■資本主義と社会主義、その先にあるもの③

資本主義と社会主義は時代に合わせて修正されていく必要があるが、「その先にあるもの」として深掘りする中で、「仕組みの修正」ではなく「仕組みの抜本改革(イノベーション)」が、必要とされていることに改めて気づいた。そして今現実化しつつある「究極の民主資本主義(グローバリズム)」と、修正社会主義から生まれた「究極の独裁資本主義(ナショナリズム)」の行き着く先は、同じ方向(最も経済効率的な社会システム)ではないかということである。

①資本主義社会の中にGAFAの存在がある。このプラットフォーム企業は独り勝ちの世界で、国を超えたグローバル経済圏の構築に向かって動いている。国家との関係のあり方を真剣に考えて、「個人監視と人間尊重のあり方」「国家との協調体制をどうつくっていくか」「新興企業との競争原理を機能させる方策の検討」などが重要課題となるであろう。


②社会主義国の試行錯誤の中から、デジタル資本主義を活用した中国(共産党)が、既に築きつつある資本主義国家よりも経済効率的な独裁体制(共産党が国・企業・国民を完全統括)を構築していることには驚かされる。この方式で検討が必要になっていくこととして、「社会システムの異なる大多数の関係国と同じ土俵に立っての協力体制づくり」「独裁社会体制からの脱却(今のままではいつか崩壊)」「中華思想からの脱却」などが重要課題になっていくであろう。
これらが統合された脱資本主義社会の「新たな社会システム」が構築されるとしたら、明るい未来が訪れると思われるが、今の資本主義社会の延長線上で進んでいった場合は、暗い未来に向かっていくのではないかと危惧される。


以上のことを視点を変えて考えていく際に、立石一真氏が50年前に未来学会で研究発表した未来予測理論「SINIC理論(イノベーションの円環論的展開)」が参考になるかもしれないので、次回に紹介したい。

<参考>
SINIC理論とは、
オムロン創業者・立石一真氏が1970年国債未来学会で発表した未来予測理論です。パソコンやインターネットも存在しなかった高度成長経済の真っただ中に発表されたこの理論は、情報化社会の出現など、21世紀前半までの社会シナリオを、高い精度で描き出しています。