●最近、思うこと⑥

倫理観の希薄化社会(自己中心主義の蔓延)

最近の日経新聞記事に、「日本の機関や団体、公職を信頼できるか」が掲載されており、信頼できるトップが自衛隊、ワースト3が①国会議員、②マスコミ、③国家公務員とのこと。
災害が増加する中で、自衛隊の活躍に感謝する国民が増えていることが信頼感を高めている。「自衛隊は違憲である」などと声高に叫んでいた野党が主流の時代がついこの間だったので、時代の変化を強く感じる。
一方では連日、TVニュースや新聞を騒がせている国会議員や国家公務員に対する不信感は非常に高まっており、またマスコミへの不信感も相当大きくなっている。
オレオレ詐欺で高齢者を食い物にする詐欺集団、スポーツ界のパワハラ問題、いじめ自殺などで責任逃れをする学校関係者、ほかにも子供の学校教育の中で「知らないおじさんから声をかけられたら逃げなさい」などと教育しなければならない社会が確実に広がっている。
高い倫理観を有し、まさに世界一の信頼社会だった日本で、いつの間にか不信社会がジワジワと進行している実態に驚かされるとともに、忸怩たる思いを強く感じている。
  前述のように世界情勢においても、デジタル技術によるパラダイムシフト・プロセスの中で、「企業のグローバル化・巨大化(GAFA)」「自国中心主義と国内多極化(米国トランプ政権、米中間の多面的軋轢)」「国家と企業の軋轢拡大(EUとGAFA)」などが進行しており、日本としての対応も動き始めている。
立石一真氏がSINIC理論で「工業社会の最終段階」である情報化社会(1975~2004年)が過ぎて、現在は最適化社会(2005~2024年)にあり、「破壊と創造が交錯する20年」と位置付けている。次の自律化社会(2025~2033年)で新たな社会づくり(知識産業⇒智慧産業)に向かうと述べている。 
特に、この5年間を考えてみると、「GAFAの肥大化」や「AIの多様な社会導入」「フィンテックの進展」「自動車産業を変えるCASEの進展」など、今まででは想像できないほどの大きな変化が現実に起こっており、今から5年後には新たな社会の兆しが顕在化し、10年後にはそのような社会が現実化しているのかもしれない。 

そのほかあまり考えたくないことであるが、「世界的な天変地異の頻発(大地震、大型台風、大型豪雨・豪雪)」「環境破壊の深刻化」や「高齢化社会が進行(若者と高齢者間の利害対立)」など、いろいろ危惧されることも想定される。
SINIC理論も基本的には「人間社会は変化・成長・発展する」ことを前提にした理論で、楽観論である。かたや今の延長線上で社会が推移していくと、人間社会の破滅に向かうことになるように感じざるを得ない。
子・孫の時代には破滅に向かうのではなく、新たなサスティナブル社会が実現してほしいと心から強く願っている。