最近思うこと④

米中対立の激化(経済・軍事の主導権争い)

中国の経済発展により、2010年に日本を抜いて、中国が第2の経済大国となり、その後も急激に経済力を伸ばしてきている。2017年頃から米国も中国の目を見張る経済発展に危機感を募らせ、関税の一部見直しやスーパー301条発動の検討が始まり、遂に2018年半ばころから米中間の経済摩擦が顕在化し、相互の関税合戦が始まった。具体的には、第1弾が7月6日に340億ドル(25%)、第2弾が8月23日に160億ドル(25%)の米中関税合戦が始まり、第3弾として9月24日に米国が2000億ドル(10%、3月より25%)、中国が残りの600億ドル(5%、10%)にかけるところまで来ている。
今後は来年3月までに米国の最終要求が認められない場合には、第3弾の関税率を10%から25%に上げた上に、さらに残りの2670億ドルにも関税をかける脅しをしているところである。

最初は貿易不均衡を是正する貿易戦争的な表現であったが、その裏にある種々の課題を含めた全面戦争(軍事を除いた)の様を呈してきた。
具体的には、外交、安全保障や通商、ハイテクなど、全断面における覇権争いが勃発していると考えた方がいいようだ。
海底、宇宙、サーバー空間への軍事技術においても、米国を凌駕しつつあるようである。特に喫緊の課題として、中国企業(&国家)による企業買収&技術スパイ、知的所有権対応、各種サイバー攻撃のほか先進的5G技術や宇宙空間奪取競争など、多岐にわたっている。これは共和党も民主党も共有する危機感である。
トランプ大統領は、外交においてもパワーゲーム的要素が強く、安全保障に至っては同盟国を蔑ろにした信頼関係を平気で破壊するやり方で社会を不安定化している。デジタル化社会の軍事において、陸海空軍に加えて、海底、宇宙、サイバー軍まで必要な時代になっている。そういう中で、中国は一帯一路構想を隠れ蓑にして、南沙諸島の占拠・軍事拠点化をはじめ、債券国債務を担保として世界的軍事拠点づくりを拡大し、陸海空軍網を築きつつある。
そのような実態に危機感を持った米国が、遅ればせながら覇権を握らせないように、徹底的な中国たたきを本格化したようである。

産業革命以降の資本主義社会における覇権国VS挑戦国の推移を見てみると、18世紀は英国VS仏国 ⇒19世紀は英国VS独国 ⇒20世紀は米国VSソ連(20世紀後半に日本の経済力が急拡大したため日本たたき) ⇒米国VS中国という構図で動いてきているが、過去には一度も挑戦国が覇権国になった事例はないようである。(産業革命以前でも、16世紀はポルトガルVSスペイン ⇒17世紀はオランダVSフランス ⇒18世紀はイギリスVSフランス ・・・・・)
いずれにしても昨年8月以降に中国の工場生産に影響が出始め、今では米中間だけの話でなく、世界的景気減速が現実化してきており、その影響が心配される。