科学と芸術の接点を訪ねて②

このように科学・芸術・技術が分化し、相互に関係し合いながら発展、次々と新たな歴史を刻んできたが
今はまた科学・芸術・技術の新たな融合が始まっているような気がする。

数学の世界でいうと、CG(コンピュータ・グラフィック)の原点にいるのがガリレオ(望遠鏡)であり、デカルト(数学)やユークリッド(幾何学)により数学と幾何学が分化発展し、次に数学と幾何学の融合が再度始まり、それがCGやGPSに繋がってきている。
加減乗除から微分積分へと広がり、更にナビエ-ストークスの方程式(偏微分方程式)という今迄の技術では解けない方程式まで生まれた。ところがスーパーコンピュータの誕生により解くことが可能となり、その結果をビジュアル化することができるようになった。即ち、科学・芸術・技術が再び接点を持ち始めている。言葉を変えると、今まさに科学・芸術・技術の融合が始まっている。
話を纏めると、
はじめは「科学と芸術と技術」の区別がなかった時代から、14世紀から17世紀頃にそれらが分化していく時代を経て、次々と新たなイノベーションを起こしながら、科学・芸術・技術の分化による安定した時代を進んできたが、その仕組みが限界を迎えて、社会が不安定になってきている。21世紀になり、万能と思われた科学・芸術・技術の時代から、それらの新たな融合が始まっており、新たな時代を迎えつつある。
VR(仮想現実)やフェイクニュースなどの新たな時代において、その時代を生き抜くためにリアルと、リアリティの違いを明確に認識しておく必要があるのではないか。
 
余談であるが、その後に坂井先生とメールでやり取りした中で、切り口は異なっているものの、坂井先生と非常に発想が似通ったオムロンの創業者・立石一真氏のSINIC理論を紹介したところ、返信をいただいたので次回に紹介したい。