■ 日本精神の考察⑥

 中国から伝来した儒仏道の精神を辿ってきたが、今回からはそれを分かった上での日本精神というものを日本の歴史から辿ってみたい。
世界各地の文明発祥地には、神話というものが存在する。ギリシャ神話、エジプト神話、インダス神話、中国の天地開闢(てんちかいびゃく)神話、そして日本の神話は「古事記」に記載されているということになる。
奈良時代になって、天武天皇の命によって稗田阿礼が「誦習」していた『帝紀』『旧辞』を、元明天皇の命によって太安麻呂が「撰録」し、和銅5年(712年)に献上したものが「古事記」である。
「天にある高天原に神々の世界があり、その指令(意志)によって地上の国(葦原中国)は作られ、かつ、統括支配される。すなわち、高天原の意志で総てが動く。その高天原の主宰者は天照大神である。葦原中国は先験的に天照大神の子孫が治らす国であると定められている。」と、まさに神話から実際の歴史にまでが繋がって記載されている。
※葦原中国(あしはらのなかつくに)とは、日本神話において、高天原と黄泉の国の間にあるとされる世界、すなわち日本の国土のことである。
 
 ここで日本の歴史時代区分を紹介しておくが、私が中学・高校時代に学んだ歴史と全く異なる視点からアプローチすることに楽しさを感じている。
*旧石器時代 - [ ~ 紀元前1万4000年頃]
*縄文時代 - [紀元前1万4000年頃 ~ 紀元前300年頃]
*弥生時代 - [紀元前300年頃 ~ 250年頃]
*古墳時代 - [250年頃 ~ 600年代の末頃] ※大和朝廷(4~6世紀)
*飛鳥時代 - [592年 ~ 710年]
*奈良時代 - [710年 ~ 794年]
*平安時代 - [794年 ~ 1185年]
*鎌倉時代 - [1185年 ~ 1333年]
*室町時代 - [1336年 ~ 1573年]
*安土桃山時代 - [1573年 ~ 1603年]
*江戸時代 - [1603年 ~ 1868年]
*明治時代 - [1868年 ~ 1912年]
*大正時代 - [1912年 ~ 1926年]
*昭和時代(戦前/戦中) - [1926年 ~ 1945年]
*昭和時代(GHQ占領期) - [1945年 ~ 1952年]
*昭和時代(戦後) - [1953年 ~ 1986年]
*平成時代 - [1989年 ~ ]

 古事記によると、初代天皇といわれる神武天皇は、紀元前660年に即位したとされており、それは縄文時代の最後の時期であり、中国では老子・孔子と同時代である。縄文時代には陸稲(熱帯ジャポニカ)による稲作が始まっており、古事記には「八百万の神」の記載もあるが、全ての自然物に霊魂を感じ、それを畏怖し崇拝するアニミズムが原始宗教として存在しており、その後の変遷の結果として日本独特の神道を形成していったようである。 
紀元前300年頃から弥生時代に入り、紀元前97年に即位した第10代の崇神天皇あたりからは神話ではなく実在天皇だとみなされているようである。
耶馬大国の卑弥呼の年代(紀元後240年前後)は、第15代応神天皇の頃であり、応神天皇の子が仁政(「民のかまどの煙」の逸話)で有名な仁徳天皇(仁徳天皇陵は墓域面積が世界最大)である。いろいろな話を合わせると、この時代は神話と実話が混在している時代だったように感じている。