■人工知能B:人工知能と人工脳

 「人工知能と人工脳は異なるものである」と強調される人に、東京工業大学准教授・長谷川修氏(SOINN代表取締役)がいることを聞いたため、これについても調べてみることにした。

 「人工知能と人工脳は異なるものである」と強調される人に、東京工業大学准教授・長谷川修氏(SOINN代表取締役)がいることを聞いたため、これについても調べてみることにした。
東工大・長谷川修研究室で独自に開発した「ノイズに強く、追加学習可能なオンライン教師なし学習手法」がある。これは自己増殖型ニューラルネットワーク(SOINN:Self-Organizing Incremental Neural Network)であり、SOINN株式会社を起業して事業化を図っているところとのこと。長谷川氏はこれを人工脳と称しているようで、人工知能と異なるものであると紹介している。
このように「人工知能」と「人工脳」を明確に区分する、少し深掘りしたいと思い、ウェブ検索をしている中で、かずー氏のブログ「Sideswipe」を見つけて参考にさせてもらった。
http://kazoo04.hatenablog.com/entry/2015/10/09/120000





 IBM のワトソンはアメリカのクイズ王を破るほどの性能を持っているが、ワトソンと例えばカラスはどちらが知的な存在なのか?
このことはAIの未来を考える上で、非常に大切なことだと思っている。
*ワトソン :予めプログラミングされたアルゴリズムに従って、質問文に含まれる単語を集め、単語の係り受けを分析し、自身のデータベースから、なるべく近そうなフレーズを見つけて出力する。
*カラス :誰かが教えなくても変化していく環境に適応し、地理を把握し、情報を取捨選択して記憶し、仲間とコミュニケーションをとり、外敵から身を守り、問題を解決するための推論をし、状況により道具まで使う。
もともと比較するのに無理のある両者であるが、前者が「人工知能」のイメージであり、後者が「人工脳」のイメージである。


  これと同様に、人工知能の研究分野に「強いAI」「弱いAI」の考え方の議論がある。もともとは哲学者ジョン・サール氏が提起した言葉で、「強いAIとは:正しい入力と出力を備え、適切にプログラムされたコンピューターは、人間が心を持つのと全く同じ意味で心を持つ」という考え方、「弱いAIとは:心を保つ必要はなく、限定された知能によって一見知的な問題解決が行えればよい」という考え方の議論である。これも考え方として「強いAI:人工脳」「弱いAI:人工知能」と整理できるような気もする。
・弱いAI :現有のAIで「画像、音声認識、乗り換え案内、道案内、チェスや将棋をする、クイズに答える、IME(日本語入力・変換システム)、食べ物に応じて最適な加熱をする電子レンジ」など。アルファー碁も弱いAIに属し、機械学習機能が含まれている。
一つの目的に沿ったものであれば、人間よりも早く・深く対応が可能であり、既に人に頼っている仕事がAIに代替されているものもあり、ますますその方向に向かっているようである。AIは両刃の剣であり、使い方によれば軍事応用や産業上の独占などの脅威とある。
・強いAI :まだできていないが、鉄腕アトムのように知性や心がある、いわゆる人工脳のことである。「できごとを記憶する、会話する、ジョークや比喩を理解する、未来を予想する、高度な推論を行う、道具を使う(身体があれば)」加えて「相手を思いやる」などなどが単一のシステムでできる。非常に高度のものであり、実現までにはまだまだ時間がかかる状況ではあるが、これこそが人間の脳と比較可能なものだと思った次第である。

 今回の調査・整理に当たっては、多くの友人の協力をもらい、今までよりも深く理解することができ、心より感謝している。