■人工知能@:人工知能の実用状況

  最近の新聞雑誌に掲載される「人工知能」という言葉は群を抜いているように思う。特にディープラーニングの活用により、急速に進化しているようである。
一部の業界だけではなく、どの業界においても人工知能を活用することで、情報革命によるビジネスモデル変革を行うべく、世界的大企業が軒並みに急旋回を始めているのには驚かされる。
GE(脱金融し顧客サービスにシフト)、GMやトヨタ(自動車製造からライドシェアやカーシェアなどを総合運用する社会インフラ企業へ)など、製造業のサービス産業化(モノからサービスへ)が傾向的に見える。
ペッパーやパルロなどのコミュニケーション・ロボットの進化と市場急拡大、フィリップスが家電機器からヘルスケア産業へなど、グーグルもポストスマホでAIにシフトしつつある。
コンビニやスーパーなどの小売業に加えて通販業界も加えてのオムニチャネル化(セブン-イレブン、アマゾン)を目指し、銀行・証券はじめ金融業もフィンテックにより融資・決済・通貨・証券取引まで大幅に変質しつつある。
医療業界でも診療や手術のあり方にも大きく影響し、弁護士や税理士などの士業関係にも影響を与え始めつつある。

つい最近の人工知能の話題として「アルファー碁がトッププロに4勝1敗で勝った」話などがある。棋譜のパターンがオセロは10の60乗、チェスは10の120乗,将棋は10の220乗,対して囲碁は10の360乗と膨大であり、人工知能がトッププロに勝つには、まだ10年以上かかると言われていた。
ところがディープラーニングを活用した「アルファー碁」により、人工知能の勝利が現実のものとなった。
グーグル傘下のAI開発ベンチャー「ディープマインド社」が開発した人工知能「アルファー碁」を深層学習させた上で、人工知能同士で対局(強化学習)を行わせた上で、プロ棋士との対戦に臨んだとのこと。日経新聞に掲載された図が分かりやすいので添付しておく。
@ 深層学習 :プロの3千万種類の打ち手(棋譜)を見せて、対戦する人の動きを57%の確率で正確に予測できるようにした。(従来は44%の確率)
そして戦を数百万回繰り返し、勝負の経験を積ませて、勝ち方を身につけさせる。
A 強化学習 :2つの囲碁プログラムを戦わせて、技術の反復・適応するのを助長する。単独では学べなかった戦略を編み出すようになった。

 「アルファー碁」の開発ベンチャー「ディープマインド社」を率いるコンピューター科学者デミス・ハサビスは、10代の頃から天才プログラマーとして名を馳せ、16歳で飛び級しケンブリッジ大学に入学。その後、人工知能研究に没頭するが、きっかけは4歳から始めたチェス。13歳でその世代の世界一を争うほどに腕を磨く中、ひらめきや先読み、直感といった人間の知性の仕組みを解き明かしたいと考えるようになったとのこと。
ハサビスは「私の人工知能は人間の脳の働きに着想を得た新しいものです。脳の仕組みは一つの物理的なシステムです。だとすればコンピューターでも真似できるはずです。ディープランニングは革命的な技術です。それを可能にするほどに、プログラムの技術が進歩してきたと言えるでしょう。」
そしてハサビスは、人間ならではのこの直感を人工知能に模倣しようとした。直感の力は多くの経験を積むことからこそ育つ。そこでまずアルファ碁に、過去行われた約15万局分の盤面を画像として与えた。するとアルファ碁は様々な石の並び方を徹底比較、各局面で勝ちに繋がる展開に共通して現れる石の並び方を自ら見つけ出したようである。