■未来社会への視点/オムロン創業者・立石一真氏から学ぶD

 オートメ化創業30年記念の時に立石一真氏が執筆した「未来社会への視点」の全文を、4回に
分けて紹介してきた。

これからの方向は・・・・・
最後に、ではこれからどういう方向に向かうのか、立石電機の今後と交えて考えてみたい。現在の情報化時代の次の段階として、最適化社会が始まるだろうということは先に述べたが、この社会は、心の問題が完全に解決された社会でなければならない。
その実現のためには、心をコントロールすることが必要になる。そこで、これから15年くらいの間に、心をコントロールできるような技術を開発しなければならない、と私は考えている。もちろん容易なことではなく、なかば夢の部類に入るが、可能性も大いにある。

  現在第5世代コンピューターの研究・開発が進んでいるが、これはいわば“考えるコンピューター”である。しかしこれには、まだ“心”がはいってないから、心のコントロールには不十分である。そこで第6世代のコンピューターに期待がかかるわけである。第5世代コンピューターまではシリコン・チップが使われるが、第6世代はバイオ・チップになるはずである。このバイオ・チップが開発されると、技術的に心をコントロールすることも十分可能になる。シニック理論でいうバイオネーショ革命が、現実のものとなるのである。
立石電機としても、一挙にバイオ・チップの開発をめざすことは無理なので、まずその一つ手前の段階であるバイオ・センサーから入り、進めている。

 われわれは、最適化社会までの残された20年たらずの情報化時代に、バイオ・センサーをはじめとするバイオネーション技術を確立して、次の最適化社会への準備を完了しなければならない。それがわれわれの目標であり、使命である、と私は信じている。だからこそ、これからの立石電機にも大いに期待していただいていいのではないかと思う。

オムロンの社憲および企業理念を紹介しておく。