■製造業編A 10枚が20万枚に!大化けした沖縄Tシャツ |
「商売を始めた頃は年間10枚程度しか売れず、いつ店終いしようかと考えていた。ところが一度評判になると、ブランド商品として爆発的な人気を呼び、今や販売枚数は年間20万枚を超える程になった」と、意外な経営展開を語るのは、沖縄県発祥の「海人(うみんちゅ)」ブランドTシャツで急成長する「協業組合いしがき手作り館」(沖縄県石垣市、従業員数45人)のリーダー、白川理事長。 |
今日に至るまでの経緯はまさにドラマチックだった。それは1978年、石垣島を訪れるダイバーを対象に小さな店を開いたところから始まる。主たる商品は「海人Tシャツ」。当時は殆どが売れ残り、苦しい日々が続いたという。火がついたのは10年程前。地元の高校生の間で流行りだしたのをきっかけに、沖縄に来る観光客の間でも評判となった海人Tシャツは、ブランド商品として人気化。その後も口コミで広がり、全国的なブームを巻き起こすまでになった。 |
「海人」とは、「海の好きな人」、「海で遊ぶ人」、「大海の心を持つ人」という意味を持つ。沖縄の情緒を入れ込んだ漢字Tシャツのデザインは、いかにもユニークで、人目をひいた。店では更にお客様の好みのデザインを店舗で受け付け、そのデータをネットで工場へ送信してプリント作成した。「丈夫で長持ち」を謳った品質保証も好評を得た一因だが、「海人の2文字には人と人との出会い、心の癒しといったメッセージが込められている。その想いが人気化した背景」と白川理事長は受け止めている。 |
1999年には本格的な店舗展開と専門工場の拡充を背景に協業組合に転換。異業種の専門家が協業化して経営に当たるという考え方で、デザインから製作、卸、小売販売までの事業体制を構築し、現在では沖縄県内に直営店5店舗、フランチャイズチェーン(FC)3店舗と2ヶ所の自前工場を持つ。 |
その勢いに乗って、創業25周年に当たる年から、直営店の県外進出とFCの全国展開に踏み切った。県外に4店舗、FCを250店舗も設けることが目標だという。更にハワイでの直営店経営という夢も描き始めた。沖縄の青い海から始まったブランド戦略に、中小企業ならではのダイナミックなドラマを垣間見る思いがする。 |