■サービス業編@
  売ったあとで儲ける!“攻めの経営“
いかに新しい事業の種を探し、いかに育てていくかは、どんな経営にとっても重要なポイントである。「やはり攻撃です。防御ではなく攻撃、攻撃していけば必ずチャンスが来る訳ですから」と、好きなラグビーを例えに、事業を成功に導くには積極的経営が重要であると強調するのは、宅配ロッカーの最大手、「潟tルタイムシステム」(東京都千代田区、従業員75名)の原社長。
同社は元々、1986年にマンション管理会社として設立され、大阪と東京を中心に約1万2千戸のマンション管理をしていた。これらのマンションでは、管理人が住人の不在時に届く宅配便を預かっていた。これに着目した社長は、不在時に宅配物を預かる「宅配ロッカー」の開発に取り組み、新たなサービスとしての可能性に挑んだ。
しかし、単に預かり、住人がボタン操作で開けて取り出すという荷物保管だけのロッカーでは「競合会社の追撃をかわせない」と、同社はより高度な宅配ロッカーの開発を目指した。そして、ロッカーに搭載されたコンピューターと同社の管理センターをオンラインで結び、24時間365日、宅配ロッカーの遠隔管理が出来る、まさにフルタイムの通信機能付き宅配ロッカーサービスを開発、事業化に成功した。
今では、他社の追撃を許さない高いシェアを誇るまでになっている。

更に、協力企業との提携で、Yシャツなどのクリーニングの宅配も可能にするなど、きめ細かなサービスも用意している。また、それまで本人のサインや印鑑が無ければ認められていなかった郵便物の受け渡しも、社長の熱意が国を動かし、宅配ロッカーによる受け渡しを可能にしたという。その後も同社は、ロッカーという「ハード」の製造に止まらず、宅配ロッカーが生み出す様々なサービス、通信サービスのビジネス化を追及している。即ち「ソフト」を売っているのである。「売ったあとで儲ける」戦略である。
現在では、マンションだけでなく、コンビニエンスストアへの宅配ロッカー設置も強く推し進めており、また、駅にもその市場を広げようとしている。
大学時代にラグビーでならした社長は、追撃者を振り切り、差別化の徹底へ「攻めろ、攻めろ」の毎日である。