■製造業編@ 
  「身内のこぼしきっかけに自前技術生かし新分野へ」
 当面、中小企業庁HPに掲載されている「おもしろい中小企業」の中から抜粋掲載することにする。

親類の漏らした「このコルセット、痛くて使いにくい」というぼやきがきっかけとなって医療商品分野へ事業転換し、成長軌道に乗せた企業がある。ダイヤ工業株式会社(岡山市、従業員42名)がそれで、「『使う人の身になって、より便利でもっと喜ばれる製品を』をモットーに事業に取り組んできた」と松尾社長は力強く語る。
 
  
同社もともとは、い草のサンダル製造が本業だった。昭和30年代のことだ。その後、皮のサンダルや財布、袋物などを手掛け、40年に商号をダイヤゴム工業からダイヤ工業に改めた。医療用品分野に進出したのは50年代、親類のコルセットのこぼしをなんとか解決できないかと取り組んだのがそもそも。裁断・縫製はお手もの。これまでの事業で培った技術が活かせた。単に固定するという機能だけでなく、長期間着用できるなど、使用者の身になった腰部コルセットの開発に取り組み、59年、いよいよ自社開発の腰部コルセットの本格販売に乗り出した。

中小企業の常。当初は販路も無く苦労したが、発送一新、イラスト入りのはがきを全国の接骨院、整骨院に出す。これが効果を発揮、平成に入って売上げは1億円を突破する成長をみせた。通信販売を主体に売上げを伸ばしていったのも同社の特色で、コルセットのほかにサポーターやテープ類も開発、品揃えを豊にし、カタログを年1回、2ヶ月ごとに情報誌を発行している。
 
平成15年度に、注文や問合せが入ると、自動的にオペレーターのパソコンにユーザー情報が表示されるシステムを備えた大規模なCSセンターを開設、即日出荷で注文や市場ニーズに迅速に対応している。大病院より、手堅く接骨院や整骨院をターゲットにしている点も特徴的で、今や同社はコルセットで全国トップにまで伸びた。全社一体の組織力に他社は目を見張っている。医療分野から、介護福祉分野も視野に入れ始めた同社、本格的な業容拡大期を迎えている。