■外食産業の今昔に思う
 外食産業の草分けの「すかいらーくグループ」の「すかいらーく店舗」が川口新郷店のみとなっていたが、10月29日をもって閉店となったようである。「すかいらーく」は、1970年に第一号店「府中店」をオープンしたとニュースで放映していたが、私は1972年に結婚して府中市の隣の国立市に住んでいたので、草分けの時代に第一号店を利用していたことになる。子供が生まれてからも気軽に利用できたこともあり、懐かしく思い出すとともに、一抹の寂しさを感じた次第である。
 「すかいらーく」は一時、飛ぶ鳥を落とす勢いで、凄い発展を遂げていたが、低価格路線の「ガスト」に力点を切替え、独自に「バーミヤン」「夢庵」など、M&Aで「ジョナサン」「小僧寿司」などの多業態展開をすることで生き残ってきたようである。このように外食産業の浮き沈みは、非常に激しいものがあるが、日経MJの2009年8月19日号に激戦・外食産業の最新情報として、『外食業、客単価増の奥の手は「サイドメニュー」にあり』との記事があったので、以下に紹介することとした。
 今は昔、ではありませんが、1997年に市場規模が30兆円にも届こうかという好況を迎えた外食産業ですが、その年をピークに、その後はなだらかな曲線を描いて下がり続けます。2007年に一時、持ち直したかに見えましたが、同年後半からの原材料の価格高騰による生活品の値上げにより、消費者の生活は完全に守りに入り、再び家計簿から外食費が削られるという事態となって今日に至ります。
 
 減り続ける客数、それには客単価を上げるしかありません。しかし、この低価格ブームの中、一品当たりの単価をアップすることが得策でないことは明らか。それどころか、単価を下げたにもかかわらず客数が戻りません。つまりは売上げが上がらないという、負のスパイラルに陥っているというのが多くの外食チェーンの現状です。
 
 外食各社は、なんとか客離れを食い止め、もう一度振り向いてもらうためのあの手・この手に懸命です。その一つが、メインディッシュの脇役にすぎなかったサイドメニューに光を当てる販促策で、各社“ついで注文”を促して客単価を上げようという古典的ともいえる戦術に工夫を凝らし、知恵を絞ります。                               
ファミリーレストランの「ジョナサン」では、一品290円のサイドメニュー15品目の中から、一度に2品注文すれば500円!というサービスを行っています。実質、80円のおトクということになります。「ヤリイカの唐揚げ」「オクラとベーコンのソテー」など、既存のサイドメニューに加えて、このサービス専用のメニューも開発。つまみ需要を中心に時間帯、年代、性別を問わず好評です。 
         
牛丼チェーンでは、もともとサイドメニューが充実していますが、例えば「吉野家」では、サイドメニューをさらにセット化して販促に力を入れています。「サラダセット」が、サラダ+みそ汁セットで120円、サラダ+とん汁セットが220円、サラダ+けんちん汁セットが190円。同様に、お新香+汁物、キムチ+汁物と、計9種類のセットがそれぞれサラダセットと同価格で販売されています。
         
「ロイヤルホスト」では、「88(はちはち)サラダ」(税抜88円)が、この価格でこのうまさ!と評判です。お店でカットした新鮮なキャベツの量もさることながら、ドレッシングやカリカリベーコン、パセリなどが独特の食感と味わいでバリュー感をアピールしています。
         
「ロッテリア」は、“新しいスナックタイム”の提案です。「2時からセット」と銘打ち、ドリンクと組み合わせた「クレープ」や「産直まるごとポテト」など5種類のサイドメニューを290円と390円で提供するというもの。
         
残念ながら、メインディッシュだけでは売上げの維持が難しくなってきた昨今の外食産業。サブ的存在だったサイドメニューを、“ついで注文”という待ちの姿勢ではなく、より効果的に活用する闘いはこれからも続きそうです。
                                  
                         ※参考:ジョナサン  http://www.jonathan.co.jp/
                          吉野家    http://www.yoshinoya.com/
                          ロイヤルホスト  http://www.royalhost.jp/
                          ロッテリア  http://www.lotteria.jp/