■年末に際して
 
  終戦の年1945年生まれの私も、いつの間にか67歳となったが、どうも年を重ねるに従い、1年が
 過ぎるスピードが速まっている感じを受けている。

  今年は、iPS細胞の山中教授がノーベル賞を受賞し、ロンドン五輪で過去最多のメダル
 獲得、また東京スカイツリーの開業など、日本にとって明るい話もあったが、何よりもびっ
 くりしたのは、あっという間の年末解散劇である。
 今年は年末に12政党が乱立した選挙となった。結果としては自民党が一人勝ちして、政権
 奪取時には国民からの期待が高かった民主党政権が崩壊した。鳩山元首相の普天間
 基地移転への対応、菅元首相の原発対応に加えて、野田前首相の消費税対応など、「官
 僚主導から政治主導へ」といいながら、「外交下手?で官僚依存?」のように見えてしまう
 民主党に、国民が呆れてしまった感もある。

  何よりも印象深いことは、尖閣列島の国有化による中国で多くの日系企業が暴徒化
 した群衆に破壊されたこと、それに伴い現在も中国の漁船・監視船が尖閣列島に不法
 侵入を繰り返していることや、韓国が不法占拠している竹島に李明博大統領が上陸した
 り、ロシアのメドベージェフ前大統領が北方4島に上陸したり、アメリカとの信頼関係が揺ら
 ぎ始めると、日本の主権が侵されることが多発したことがある。


 
  これらのことから言えるのは、
 当たり前のことだが各国から、国交は自国の利益最優先で動くことを見せつけられ、「いつ、いかな
 る時にも、話し合いによる解決」を目指すという知識人の言葉は、現実の前では通用しないことを、嫌と
 いうほど実感させられた年でもある。今できることは、崩れかけているアメリカとの安全保障条約に基づく
 信頼関係を再構築するしかないが、長期的には、日本が軍事的優位性をアメリカとの安全保障条約に
 依存した状況でやっていくのか、それとも原則を「自分の国は自分の手で守る」という国防の強化をやっ
 ていくのかも、真剣に考えなければならない時代になってきているようにも感じる。

  一方で
 金本位制で動いていた世界経済が壊れたことにより、バーチャルマネーの肥大化による実態経済に及
 ぼす影響力が強くなりすぎたために、「マネーコントロールができなくなっている」事実に加えて、ここ
 3年間で急激に拡大している多様なSNSの劇的進化により、個人情報保護だけでなく国家機密情報の
 漏洩まで引き起こすような情報戦争が繰り広げられ始め、「情報の肥大化と情報コントロールが利かなくな
 っている」ことが、世界情勢の不安定化を助長拡大していることにも、危惧も感じざるを得ない。

  種々の事象を鑑みた時に、社会・経済に関する従来の仕組みが壊れかけていることは間違いない
 ことであり、従来の仕組みの崩壊・終焉は、新しい仕組みづくりの始まりでもあると思っている。今
 まさに新たなパラダイムシフトが起こり始め本格化しつつあると、私としては明るい事象として捉えること
 にしたい。経済至上主義からの脱却が今からの社会テーマになっていくように感じており、キーワードと
 して「共生と共有、そして共創」があり、コラムに掲載しているように、新たな社会づくりをリードできる
 のは日本だと思っている。
  
  個人的には、義母が96歳の天寿を全うしたために、静かな正月を迎える中においても、
 おかげさまで孫が5人となり、夫婦に加え孫・子も元気に年の瀬を迎えることができた
 ことに感謝をしたい。
 では皆様、よい年をお迎えください。

                                         平成二十四年 年末