■熊本の昔話A
  
  前回に引き続き地名にちなんだ熊本の昔話
 旧国道3号線沿いNTT研修センター近くに山伏塚(やんぼしづか)がある。その塚についてお話。
  天下三名城のひとつといわれる熊本城には、いざというときのため、
 あちこちに色々なしかけがしてあったといわれておる。
  じゃがそのため、城の秘密を守るのに、そりゃ大変な苦労があった
 そうな。この城が築かれるとき、龍蔵法印という山伏がよばれ、
 工事安全を願うおはらいがされたんだと。
  そしてそれが無事におわって、法印の ための別れの宴がひらかれた。
 それぞれに酒がくみかわされ、いろんな話に花を咲かせているときのこと。
 ほろ酔いかげんの法印は、すっかりいい気持ちになってのう、城のしかけについて、
 自分の知っていることや思うておることを気軽にしゃべってしもうたんじゃと。可哀想に、
 やがて帰ろうとした法印は、その場で斬り殺されてしもうた。城の秘密を守るためにのう。
 しかしそうとはいえ、罪もない法印をあわれんだ武士たちは、法印を手厚く葬り、そこに
 塚をたてたんだと。後にその塚は、山伏塚とよばれてな、江戸時代にも法印の供養塔や
 お地蔵さまがたてられたそうな。また昭和11年には、記念碑も建てられたというが、この
 山伏塚には、今も花や線香が供えられ、お参りする人が後を絶たないということじゃ。


*昔も今も守秘義務はしっかりと守らないとこわいことになりますよね!!