■ 熊本の昔話

   最近あまり耳にすることがなくなった昔ばなし!! 
 各地方には色々の珍しく面白く怖いお話が語り継がれています。
 今回は熊本の昔ばなしを方言で書いてある本からご紹介いたします。
 熊本の方はご存知の味噌天神のお話
 
  @ 味噌天神
   熊本市内に、味噌天神というお宮がある。
  もう千年以上も前に建てられたそうじゃが、ここにはこんなお話が
  残っている。
   まだこのお宮が、御祖天神宮と呼ばれている頃じゃった。都では
  聖武天皇が位につかれてな。その聖武天皇は、それは深く仏教を信仰
  しておられたもんで、都には東大寺をまたそれぞれの国には国分寺を
  建てるように命じられたそうな。
   それで肥後の国でも、今の国府に国分寺が建てられることになってな。
  各地から大勢の人々が集められた。またそういう人々のための宿や
  炊事場、そして米蔵や味噌蔵までもが建てられたんじゃと。
  ところが工事も始まってしばらくした頃、大変なことが起こった。味噌蔵
 から変な匂いがするようになったんじゃ。味噌が悪くなってきたんじゃろう。
 こりゃ大変じゃと、みんな色々と手をつくしたが、味噌は悪くなる一方。
 とうとうわらをもつかむ思いで、みんなは御祖天神宮にお願いしたそうな。
  したらある夜明け、一人の男が不思議な夢を見た。
 白い髭の老人があらわれて「ササをたてるのじゃ、味噌桶にな、この社に
 あるササをたてるのじゃぞ」というんだと。
  びっくりして飛び起きた男は、すぐさまお告げの通りにした。
 そしたらどうじゃ。
  今までたちこめていた悪い匂いは、ウソのようにかき消えて、味噌はたち
 まちもとの新鮮な味噌になったではないか。
  こんなことがあってからというもの、いつの間にかこのお宮は、味噌天神
 と呼ばれるようになったそうな。
  そうして、今でもここには、全国から味噌作りをする人々がお参りに
 きてな、境内にササを植えていくんだと。
 
 * 味噌の匂い・味が変わるとよくないことが起こるというのは世界共通の話のようですね。
 
  テレビで今話題の「チャングムの誓い」でも味噌の味が変わったので良くないことが
  起こると騒いでいました。