■大掃除

今年も残すところ2週間あまりになりそろそろ大掃除にとりかからなければ
と思っていたところ16日の熊本日日新聞に大掃除について民俗学者・石毛直道氏の随想が掲載されており興味深かったので一部抜粋します。
「煤掃き」と「煤払い」この2語の読みと意味を記しなさい。
あなたは、こんな国語の問題がとけますか?
「すすはき」と「すすはらい」とよみ、どちらも大掃除をしめすことばである。
現代の日本家屋にはすすの発生源がなくなり、『煤』という文字が読めないばかりか、すすを知らない若者が多くなった。





ガスや電気が普及する以前は照明には行灯やロウソク・石油ランプを用い台所のかまどや囲炉裏では薪をもやしたが伝統的な日本家屋には煙突はなく天井や梁には黒いすすがこびりつくのであった。そこで年末には家中のすすやほこりをはらう大掃除をして汚れのない清らかな室内空間で新年を迎えることが望ましいとされた。
旧暦12月13日は縁起の良い吉日とされているので、江戸城ではこの日を城内の大掃除をおこなう「御煤納の日」と定めた。
これが民間にも採用され、「正月事始めの日」とされた。門松をたてる、餅つきをするなどの、正月の準備がこの日から始められるのである。門松の材料を山にとりに行く日とされていた地方もある。
正月は「年神様」が各家を訪れる時である。年神は、もともとは新しい年の豊作をつかさどる農業神であるが、家を守護してくれる祖先の霊と習合して祭られるようになった。
正月の門松は年神様の依り代であり、門松を目印に年神様が各家を訪れてくる。そして屋内に設けられた年神棚とか恵方棚という神棚に宿り、そこには鏡餅が供えられた。
こうしてみると暮れの煤払いは、単なる大掃除ではなく1年の厄をはらい、新しい年を「予祝」する年中行事でもある。
大掃除にもいろいろといみがあるのですね。
心を込めて大掃除に臨みましょう!