■くじら資料館        
 8月後半、山口県の長門、萩方面にドライブに出かけました。山口の日本海側を走るのは初めてで、できるだけ海沿いを走っていくことにしました。
途中、ナビを無視してどんどん進んでいたら、とんでもない崖っぷちの道に出てしまい、、砂利道で細いうえ、離合する場所もなく前進あるのみで、ドキドキしながら山道を抜けると、まるで手付かずじゃないかと思うほどのきれいな砂浜に出ました。この道を命がけ!?で来たものだけが見ることのできる、まさにプライベートビーチ♪
絶景も絶景。きっといま来た道が舗装されたらたくさんの人が押し寄せるでしょう。沖縄を思わせるコバルトブルーの海、いつまでも見ていたかったです。
 
 左手にいい景色を見ながらさらに北上していくと、青海島(オオミジマ)という標識を目にしました。
名前からしてきれいな島だろうと、行ってみることに。
青海島への入り口、イカで有名な仙崎は、詩人金子みすヾの生まれた地だそうで、みすヾ通りや、詩を刻んだ碑があちらこちらにあり、細い路地の中には記念館がありました。
 漁師町仙崎で生まれたみすヾの詩は、海をテーマにした詩が多いのがわかりました。前にスタッフがふすま絵で紹介していた「大漁」も、イワシを獲ることでなくなる命を悼んだものです。
展示してある詩のなかに、「鯨法会」というのがありました。くじら漁が盛んだった青海島、親くじらが捕らえられるのを、残された子くじらが悲しむというもの。解説に、青海島にはくじらの墓があるとあったので、行ってみることにしました。

 島は名前の通り真っ青な海に奇岩や怪石が浮かぶ景勝地で、別名「海上アルプス」とも呼ばれ、自然豊かなところです。くじらの墓は島の集落の中の清月庵にありました。
捕獲された母くじらを解体して出てきた胎児を村人が手厚く供養して、実際72頭が眠っているそうです。そこは海がよく見える高台で、村人の生きるために仕方がなかった捕獲に対する懺悔というか、せめてもの弔いが感じられました。
現在でも毎年鯨の回向が行われているそうです。
 
     『鯨法会』
   鯨法会は春のくれ、
   海にとびうおとれるころ。

   はまのお寺で鳴るかねが、
   ゆれて水面をわたるとき、

   村のりょうしがはおり着て、
   はまのお寺へいそぐとき、

   おきでくじらの子がひとり、
   その鳴るかねをききながら、

   死んだ父さま、母さまを、
   こいし、こいしとないてます。

   海のおもてを、かねの音は、
   海のどこまで、ひびくやら。



    
         
 その後、くじら資料館へ。当時の捕鯨用具や、漁の方法が詳しく説明され、くじらと村人とが共存してきた歴史が伝えられていました。
 久しぶりに海を見たくて出かけた旅の1日目、自然の癒しを満喫したと同時に、あらためて人間は生かされているなと考えさせられました。