■怪力横手の五郎(肥後・熊本の昔ばなし) |
今年は、熊本城の築城400年ということで、様々な行事が執り行われ、また本丸御殿も見事に復元されました。熊本県民、そして一口城主としては嬉しいことに、入場者数も大幅アップのようです。その熊本城にちなんで「怪力横手の五郎」という熊本の昔ばなしを、熊本弁で語ってある「肥後の昔ばなし」の本から抜粋して掲載します。 |
今から三百八十年ほど昔のこと、肥後の国に「横手の五郎」と呼ばれる若者がおった。五郎は、加藤清正と一騎打ちをして負けた木山弾正の子だといわれるが、これがまた大変な力持ちでな。大の男が五人かかって運ぶような大石でも、一人でかるがるとかついでしまうぐらいなんじゃ。じゃから、熊本城の石垣を築くときでも、五郎は人の何倍もよう働いてな、みんなからちょうほうがられておった。 清正も、ぬけ穴の工事や、大事な場所の工事には五郎を使うたという。そんな五郎を、みんなは「横手の五郎は怪力じゃ」ちゅうて、ほめとったそうな。 そんなある日のこと、いっしょに働いておる一人の男が五郎に聞いた。 |