■公文のこと@

 先日、カンブリア宮殿で公文を見て、公文の考え方に強く共感するとともに、大きな感動を覚えた。日本での活動をしている企業とばかり思っていたら、世界展開していることを知り、世界に通用する教育をやっていることに、またまた驚かされた。
その原点は50年以上前に、高校教師だった創始者・公文公(とおる)が、算数が苦手だった息子のために手書きで作った問題集にある。
公文は1958年創立、1962年設立の会社で、今では褐文教育研究会(持ち株会社)として連結売上高787億円、グループ従業員3947人の大企業となっている。グローバル化する中で、国内活動を主導する鞄本公文教育研究会を2000年に設立し、今や全国85か所に拠点を持っており、生徒数は149万人、教室の数は全国1万6000ヵ所にあるとのこと。

創始者:公文 公と手書きの問題集

 公文の学習スタイルは、「プリントを先生から受け取って、自分で解いて、先生(指導者)に見てもらう」という「自学自習」スタイルが公文の特徴であり、
@ 100点になるまで自分で考えさせる ⇒教えられた答、やり方は家に帰ったらすぐ忘れてしまうが、自分で試行錯誤してやったことは記憶に残る
A つまづかせない究極のテキスト ⇒例えば小学4年生で習う2ケタの割り算では、掛け算と引き算を理解してないとできないので、始める前にまず2ケタの掛け算と引き算の復習をしてから進むように教材を工夫など、「長年の経験で培ったノウハウ」がある
というような基本方針を貫いている。
海外展開は、1974年にニュ−ヨ−クに進出したのが始まりで、アラバマ州の小学校で公文を導入したら、算数の平均点が20点も上がったことがメディアに取り上げられて注目されたとのこと。これをきっかけに海外展開を図り、今では世界48ヶ国・96ヶ所(生徒数430万人)に拠点を持つ企業となった。

 公文の対象は子供だけではなく、介護サ−ビスの現場でも生かされている。
神奈川県平塚市の「サンステ−ジ湘南」では「公文の時間」があって、お年寄りが音読や足し算などの教材に取り組んでいる。東北大学と共同研究して開発した教材で、一桁の足し算をするのは、簡単な計算の方が脳が活性化するからだそうだ。
公文の時間を取り入れることで、「喜怒哀楽を示すようになった」との、認知症患者への好影響も確認されている。
人間の本質、教育の本質に立ち返り、角田秋生社長の話を聞けば聞くほど、公文では世界に通用する素晴らしい活動がされていることに、尊敬の念を抱いた次第である。他にも
「0〜3歳児の教育」:「楽しさ」こそが幼児教育のポイント。「やりたい」ことを、自ら考える子に育てる。
「障害児の教育」:公文式では障害のある子も健常な子も、同じ教材と同じ指導法で学んでいます。どの子にも「学ぶ喜び」「できる嬉しさ」を。

 体を鍛える時には、「体に汗をかく」くらいの運動量が必要であるが、公文では「頭の中で汗をかかせる」ことで、頭を鍛えるとのこと。言葉を変えていうと、「基礎を身に付けるには、分かっただけではなく、繰り返し身に付くまでコツコツやらないといけない」との話があったが、これは本質的なことであり、私が主宰する若手経営者塾である共育塾に取り入れている共育システムでも、同様な考え方に基づいてやっており、共感するとともに公文のシステムを研究することが、共育システムの質の向上に役立つことを強く実感している。
今からの世の中は「ないものを創る」能力を持つことが重要であり、「ないものを創る」能力を持つための前提条件は、「自分の頭で考え、自分なりの理解を深め、自分の言葉で話せるようになる」ことだと思っており、共育塾生にもこのことを繰り返し伝えている。
角田社長の座右の銘として、「やってみよう! やってみなければわからない」と述べていたが、私も強く共感している陽明学の「知行合一」に相通じるものだと感じている。



角田秋生社長
 
  次回に、「村上龍の編集後記」に加え、公文のホームページに記載されている「公文の理念」
「公文の使命」「私たちがロゴに込めた想い」を転記させていただき、自分の想いの原点を考えて
みたいと思う。
感謝!!