■地域診断士研究会の変化・成長・発展C
<ビジネス支援図書館推進活動のコンセプト>
 何故、ビジネス支援図書館推進活動を行うのかに関しても、我々自身も明確にしておくことが必要ではないかと考えて、私なりにコンセプトを温めてきた。これは私自身が、県中小企業支援センター(テクノ財団)のPMやリージョンIMをやったり、JANBOでのIMインストラクター活動をする中で、醸成してきた考え方がベースにある。
 地域診断士研究会は、時代の変化への対応を含めて、「これからの地域に必要な診断士活動の研究と実践」を趣旨として活動を始め、ビジネス支援図書館推進活動も、その活動の一つとして行っているわけである。
我々は具体的にいうと、「地域の創業活性化の社会インフラ整備を推進する」ことの一環として、ビジネス支援図書館を「自己責任の時代の情報収集拠点づくり」(添付図参照)と位置づけている。添付図の解説を以下に示しておく。
 
 創業活性化の現状施策としてJANBO(日本新事業支援機関協議会)が2008年まで10年間で実施・構築してきたJANBO・BIS(ビジネス・インキュベーション・システム)があり、国内にインキュベータ235施設が全国に展開されていく中で、全国に約600名のIM(インキュベーション・マネージャー)を養成し、全国の新事業創出の一環を担っている。(JANBOは平成20年度でなくなり、その機能をJBIAが受け継ぎ、現在も活動開始中。)
                     
 我々は、これに加えて中長期的な施策の重要性を実感しており、社会インフラ整備の一環として「若年者の自立人材育成機能」と「自己責任時代の情報提供機能」の二つが必要ではないかと考えている。中長期的な施策が、ある段階から本格的に機能し始めた場合は、従来施策にはあまり金をかける必要がない時代を迎えるのではないかと考えている。行政のほうでも中長期的な施策に金をかけることで、税金投資のトータルコストも下がっていくのではないかと思う。


 
 先ず、若年者の自立人材育成機能」についてであるが、
今の小学6年生が10年後は社会人となる。小学5年生は遊びの要素を加え、中学2年生はビジネス要素を強め、高校2年生では企業活動と連携して行うなど、年齢に応じたビジネスの疑似体験をすることで、「自分で考え、行動し、課題に直面した際に自分で判断する能力」を有する人材を育て上げていく仕組みが必要である。小中高と繰返し経験させることで、より体感性の強い若年者のキャリア教育を推進していく必要がある。そのことで将来の日本を支える自立人材を増やすこととなり、結果的に自主的な創業の活性化にも繋がる。
 2005年には、実際にキャリア教育推進活動集団を立ち上げるところまでいったが、頓挫したことがある。具体的には当集団で、国の「キャリア教育プロジェクト」に高校生向けとして「くまもとうまかもんプロジェクト」(「事前学習→企画→ものづくり→販売→検証」のサイクル)を提案し、地場コンビニ本社とコンビに向けの地産地消弁当づくりを企画したが、残念ながら公立高校との人脈が薄く、実現に至らなかったことがある。またベンチャーキッズスクールを実施している潟Zルフウィングとの連携もつくりかけたが、双方の成熟度不足で実現に至らなかった経緯もある。
 
 加えて、「自己責任時代の情報提供機能」についてであるが、
現在の社会インフラレベルでは、自己責任の時代といわれながら、自己責任を取るべく判断する情報が得られない現実がある。全国津々裏々に存在する公共図書館における多面的な情報提供機能を充実し、幅広い情報生成・提供する場ができることで、その機能を果たすことができるようになる。図書館が起業家やビジネスマンのビジネス情報収集拠点となるわけである。
ここで生成される情報は、「図書情報+インターネット情報+データベース情報」というハイブリッド情報であり、図書館はビジネス情報収集できる素晴らしい場となる可能性を秘めている。おまけに図書館には司書がいて、レファレンスサービスという利用者が必要とする情報検索を支援するサービスがある。また金のない中小企業が、大企業の伍して高価なDBを活用できるわけである。
図書館サイドからの見方としては、先ずはビジネス支援から始まり、将来的には法律支援、医療過誤支援など幅広い情報収集が可能な場になっていくことが望まれているところでもある。
 これらの社会インフラ整備ができることで、長期的な新事業創出が継続的に実現していくことが可能となるのではないかと考えている。