■地域診断士研究会の変化・成長・発展A
<2年目の新たな活動>
 私がみんなに最も伝えたいこととしてあったのが、「人は皆、無限の可能性を持っていること」「チャレンジすることで、自分の可能性を広げることができること」「チャレンジほど面白いことはないこと」、そして「楽をして、地力をつけることはあり得ないこと」であり、1年目には私の実体験を含めた具体事例を話すことで、メンバーに繰り返し伝えてきた。
 2年目(平成19年)は、各自が持ちまわりで、起業・企業支援事例や得意分野に関する発表を行うこととして進めていったが、初年度に比べ刺激も薄らいできたこともあり、出席率は必ずしもいい状況ではなかった。別の言葉でいうと、「相互研鑽の場」が確立できていない状況にあったともいえる。自ら発信する集団になっていかないことへの焦りもあり、私の渾身のエネルギーがザルから漏れていくような、空しい気持ちになったこともあった。当時の私が、今年度目標で設定したコンセプトには、自戒の意味をこめて「待つ度量と、捨てる勇気を培うとき!」と書いている。
 そのような状況下にあり、何か新しいことを始める必要を感じていたわけだが、いろいろと頭をめぐらした結果、正月明けの会合の時、メンバーに二つのことを提案させてもらった。一つは「もし、みんなで起業・経営相談会のボランティア相談員の協力(3ヶ月2回担当)をするのであれば、熊本県立図書館に起業・経営相談会の企画・提案をしたい。どうだろうか。」ということ、二つ目は「今までにない少数精鋭・共育塾をキックオフするので、塾生集めに協力をして欲しい。また講師としての協力もお願いしたい。」ということである。
 「ないものを創ることに、チャレンジする」ことにより、何もない状態から達成に至るまでを、みんなにも入り込んでもらう(疑似体験してもらう)ことで、「頭で分かるのではなく、身体で分かる(腑に落ちる)」ようになって欲しいと強く思っていたので、2つのチャレンジをすることにした。
 
 起業・経営相談会については、8名のうち5名が賛同してくれたので、新任の村山館長に事前の地ならしをした上で、具体検討に向けての打合せには、現在の代表である坂本さんと常に一緒に図書館との交渉を行っていった。
 図書館サイドの初期検討段階では、非常に慎重な対応であったが、ありがたいことに協力的な館長の応援もあり、打合せを重ねるに従い理解度も進んでいった。そして図書館として実施決定がなされたあとは、慎重姿勢は一転し、担当の方々も積極的に全面協力していただき、順調にキックオフに繋げることができた。診断実績の点数付与に関しても、状況を説明することで、快く即決していただいた次第である。
 紆余曲折もいろいろあり、ある局面では坂本さんが「ダメになるのではないか。」と弱音を吐いた時もあったが、前向きに粘り強く交渉することで、最終的には成約まで持っていくことができた。坂本さんは、このような壁を乗り越える経験を通して、チャレンジの素晴らしさの実感を持ってくれたと思っている。 
    ビジネス支援・起業経営無料相談会情報
           http://www.library.pref.kumamoto.jp/bsi/index.html#B003


熊本県立図書館ビジネス支援コーナー

定期塾の様子
 
 後者については、メンバーの反応は芳しくなく、戸惑っていた印象が残っている。というのは熊本の診断士が手がけたことのない経営者塾、それも年間18万円という会費では、熊本では難しいだろうと思っていたのではないかと想像している。
 当初から私自身は、「自分一人ででも、何としてでも実現にこぎつけるぞ!」という強い意志を持って推進していくことにしていた。そして活動のはじめとして、私の志を理解してもらっている方々への共育塾の趣旨の説明と、受講生の紹介を地道にお願いしていった。しかし私の意図を本当に理解してくれる人がなかなかおらず、塾生集めには苦労したが、懇意にしている経営者を中心に説明をしてまわり、何とか7名を集めることができた。一方で、仕事の忙しい合間を使って、塾のコンセプト、仕組みづくり、カリキュラム作成までの準備を進めていった。孤軍奮闘で、結構ハードではあったが、おかげさまで「共育塾で学びたい受講生」7名と一緒に、4月から共育塾をキックオフさせることができた。
 
 研究会で、「メンバー7名が揃ったので共育塾をスタートする。みんなも協力願いたい。」と話したが、その時のメンバーの「えっ!塾生が7名も集まったの?」と驚いた顔が印象的だった。「ないものを創る」ことをメンバーに感じてもらう一歩が踏み出せた瞬間であった。1期生の定期塾のカリキュラムを精査していく中で、メンバーのうち3人に、講師としての協力をしてもらうこととした。
 試行錯誤しながらも、おかげさまで「定期塾+メーリングリスト+会食懇談」の共育システムの基礎が固まり機能した結果、「志のある集団」「相互研鑽の場」が1年間で仕上がったと思っている。いろんな人の話を聞いてみると、定期塾への延べ出席率が96%(海外出張2人、台風対応1人の延べ3人欠席)という高出席率であったことも驚異的なことのようである。


塾生とゲストとの会食懇談の様子

地域診断士研究会に見守られ、
1期生最後の発表会
 共育塾の年間プロセスの中で、キックオフ会合と最後の発表会には、地域診断士研究会メンバー全員が参加してもらった。共育塾生が1年間の塾活動を終えて総括発表を行ったときに、塾生の1年間での変化の大きさを目の前にして、メンバーの一人から「横山さん、このような形で毎年塾生が倍々で増えていったら、凄い経営者集団になりますよ。凄いことだと思います。」との言葉を聞き、心からやってよかったと思った次第である。
 また、「図書館提案〜実践」「共育塾企画〜1期生修了」まで、地域診断士研究会のメンバーには、「ないものをつくる」ことの疑似体験、半疑似体験をしてもらったわけだが、「ないものを創る喜び」や「チャレンジ精神」を体感(頭で分かるのでなく、身体で分かる=腑に落ちる)してもらえたと自負している。