■私のインキュベーション・マネージャー活動 そのC

第4回 : 企業支援事例−2

 次に、1つの企業に対しての総合的・継続的支援の具体事例を紹介します。

 ガス漏れ検査機器のファブレス企業で、
昨年1月創業の(株)エイムテックという会社(有馬社長)があります。
創業前の時期に工技センターから紹介があり、支援を開始しました。
しっかりした自立性の高い社長であると感じています。


@ 会社を設置する場所について相談があり、調べたところ当財団の電応研に空き研究室が
 あることがわかり、交渉の結果そこに入れるようになりました。
 後日社長から聞いた話では、「テクノ財団内に会社を設置しているというだけですごい信用となり、
 どこに行っても一応話を聞いて貰える。入居して非常によかった。」とのことです。

A 昨年2月頃に当機器の「商品設計と生産能力」を持った企業を紹介して貰いたいという相談があり、
 熊本県内にある企業7社を紹介しました。
 私も同行しましたが、各社を訪問する度に社長が熱のこもったプレゼンテーションをしました。
 その結果7社の中の4社から「是非一緒にやりたい。」と言う話があり、
 企業選択の議論をしながら最終的には社長が決め、既に商品開発を完了しています。
 取説についても、CD−ROM版で作りたいという相談があり、
 類似サンプルを提供したところ既に自社取説を作成完了しています。

B 熊本大学・大学院から私に創業に関する講師の依頼があり、
 昨年3月に創業間もない企業を2社連れて行ったことがあります。
 その中の1社が当企業で、受講学院生の前で創業の話もしてもらいました。
 その時に担当教授を紹介したことがきっかけで、現在は産学共同研究を2つやっています。
 1つは現商品の関係で、もう1つはネクスト事業として考えているものの研究です。

C パテントを取得したいとの相談があり、知的所有権センターの特許流通アドバイザー・深見氏を
 社長に紹介して現在も支援をしてもらっています。
 深見氏の推薦により、昨年11月に開催の「テクノマート熊本2001」での発表や、
 今年1月の「国際特許流通セミナー(東京:ロイヤルパークホテル)」でのパネルディスカッションにも、
 事例企業の立場で有馬社長は参加しています。
 (私は深見氏を「特許の何でも相談屋」と支援企業に紹介しており、
 私にとってパテントに絡む支援に全面協力してくれる強力な連携相手です)

D 創造活動促進法の申請も支援しましたが、認定を受け助成金も取れるようになりました。
 また事業計画や製品機能評価、機器の許認可、製造立上げ等に関する相談・助言や
 情報提供等を継続的に行っており、少なくとも月に4、5回は面談・電話・メールでの接触をしています。
 この社長は営業畑出身で販売に関しては自信を持っており、
 またアイデアマンであり商品企画は彼がやっています。
 そのために継続的にユーザーニーズを開発にフィードバックしており、
 創業時の企画製品と最終製品ではセールスポイントも大きく変化しています。
 パテントも2件申請済であり、基本機能にも追加し、魅力ある、
 高精度・高機能で付加価値の高い商品に仕上がりました。
 経済産業省の担当部署や高圧ガス協会からも、今から重要性が高まる今までになかった検査機器だと
 高い評価を受けており、将来性の高い商品になっています。
 販路については、彼が今まで勤めていた人脈から大手関連企業のルートを旨く見つけて、
 そこでの販売量の確保ができるようになっています。今まで1年間の売上はゼロですが、
 「販路を確保した上でのものづくり」という最適条件で、
 今年は損益分岐点1億円に対して2億円の売上を目標にしています。
 最近の社長の夢は、来年中には自社社屋を建設することのようです。