■私のインキュベーション・マネージャー活動 そのB


  第3回 :企業支援事例−1

  企業支援事例を以下に述べますが、「創業成功」事例を示すためにはもう少し時間が必要では
 ないかと考えています。
  そこで先ず昨年に継続支援してきた企業の中で「効果的だった」と感じた個別事例を5件ほど簡単に
 紹介致します。

 @ 台湾企業(半導体回路設計)の日本/熊本進出に際して相談を受け、
 専門家支援チーム(司法書士、税理士、社労士)を編成し、オフィスの場所の設置から会社登記、
 人事規定等の社内規定の整備までを支援し、短時間で開所にこぎつけました。
 海外からの誘致企業として地元新聞にも大きく紹介されました。

 A 脱下請推進企業(縫製業)から売上拡大のための販路開拓の相談があり、JAへのアプローチを
 提案し、JA経済連を攻略先に決めて接触を始めました。
 JA関連は保守的で、大手アパレルの子会社1社のみを取引業者と認定しており、
 新たな業者は不要との話でスタートしましたが、
 「短納期対応(現業者は中国生産で3〜6ヵ月後の納品)」と
 「農産物も縫製業も中国との競合環境にあり相互助け合いを!」でアピールし、
 大きな販路開拓に成功しました。

 B 3年前に創業した食品残渣リサイクル企業から
 「事業条件が整って工場建設の計画を具体的に詰め始めたところ、
 登録再生事業者認定や工場建設認定などで行き詰まった。
 法律や規制に関しても流動的なところがあり、よく分からない。」との相談があり、
 産廃関連法・規制の現状を熟知している県職員に協力を要請し、
 各種助言と関連機関を紹介してもらい目処が立ちました。

 C 新規事業に進出し工場建設・稼動して間もない企業から、
 「新事業立上後の見込み違いも含めて経営的に厳しくなるとともに、
 経営陣の不協和音が発生し相互不信も芽生え、経営にも影響しはじめた。」
 との相談を受けました。
  専門家を活用して経営再建計画を策定し、全役員への提案を行ったことで、
 ワンマン社長の反省もあり役員間の対話と新たな方向付けもなされ、
 計画に沿った再建活動が役員間の協力の下に動き始めました。

 D 下請系ソフトハウスからの脱却を図ろうと、
 配賦型・積上型兼用ABC(活動基準原価管理)のパッケージソフトを開発した企業があります。
 ある顧客に納入してサポートを始めたところ解決課題が多く発生したようで、
 中小企業の原価管理にフィットさせる必要性を感じている旨の相談を受けました。
  中小企業・原価管理指導に経験豊富な専門家を紹介することで、
 現場の考え方や考慮点・必要点などを把握し、改善を図ることができました。
 また事業展開のあり方や重点の置き方の新発想も得ることができ、新たな活動を始めています。
 最近では東京にも営業所を設けて多角的な事業化活動中です。