■コミュニティ・ビジネスのインキュベータ

 今年も6月からIM養成研修が始まっており、例年通り、私もIMインストラクターとして参加させていただいて
いる。本年度の第1回では、「とよなかインキュベーションセンター」の与那嶺氏と、「宮崎県産業支援財団」の高峰氏の2人をインストラクターとして担当することになった。
 
 今回、IM養成研修に関して敢えて採り上げたのは、コミュニティ・ビジネスのインキュベータ責任者を研修受講生として担当することになったからである。
 「とよなかインキュベーションセンター」は、2003年に開設したコミュニティ・ビジネス(以後はCBと称す)を中心とした起業家支援施設で、豊中市が指定管理者「とよなかTMO」に運営を委託している。
http://www.toyonaka-incu.com/
当施設はオフィスが6室、シェアドオフィスが9ブースで成り立っており、スタッフ5人で運営している。その責任者が事業マネージャーの与那嶺氏である。
今回、与那嶺氏が、支援起業者として2社を選定して、連絡をもらったが、いずれも今までの起業者とは全く異なる人たちである。ビジネスとして捉えることの難しさも感じてはいるが、ここで簡単に2社も紹介しておくこととする。

@ライトギターラオフィス :中島桃子氏

独奏スタイルのフラメンコギターの奏者で、プロのギタリストとして活動すると共に、フラメンコギター教室を主宰し、各種音楽文化事業にも進出を考えているとのこと。
http://www.jttk.zaq.ne.jp/momoguitar/

Aイタリア生活文化交流協会 :松本城洲夫氏
人権啓発・人権文化事業を背景にもって、世界的なホルン奏者であるアレッシオ・アレグリーニ氏の日本での演奏活動事業や、イタリア語教室、イタリア家庭料理教室などを通して、イタリアにある生活文化の原理を発展させる事業とのこと。
http://www.sabina-net.jp/

 私もCBについてはよく聞くものの、あまり接触したこともなく、CBをターゲットにしたビジネス・インキュベーションについて、どのようにアドバイスをやっていけるのか、手探りの状態でもある。
早速、「入門 コミュニティ・ビジネスの成功法則」という今年6月に出版されたばかりの本を購入して、読んでみたので、先ずはCBの概要について学んだことを書いておくこととする。
 
 CBとは、「誰もが、自分のできることで、適正規模で、地域の支えあいの中で、地域に喜ばれながら、収益を伴った活動を、継続的・発展的に行う」といえる。
都市型は「サービス系」が、地域型では「ものづくり系」が多いようである。分野的には、福祉・保健・医療、青少年教育、環境、まちづくり、企業・就業支援、安全・安心支援、観光・交流、文化・芸術・スポーツ、生活サポートなど多岐にわたっている。

ボランティア活動との違いは、「生きがい、楽しみ」だけでなく、「事業性(適正利潤、継続発展、社会貢献)」の裏付けのあることで、リスクと責任、ルール、高い専門性を必要とすることのようである。
またビジネス活動との違いは、利益優先ではなくローリスク・ローリターンであり、地域の会社、団体、行政、大学、市民などを巻き込んでの地域密着の連携活動である。

 CBにおいては、「自己満足度」「経済自立度」「社会貢献」「地域貢献度」の4項目のバランスが取れていることが大切であり、地域社会が壊れかけている今からの世の中には、最も必要とされる活動ではないだろうか。せっかくの機会であるので、CBのあり方について与那嶺氏からも、いろいろ勉強をさせてもらいたいと考えている。