■オーストラリアのCREEDA そのA |
CREEDAの創設者であるジュリアン・ウェブ氏との意見交換の中で、 熊本県としても学ぶべきことが多くあったように感じている。特に印象に 残った内容について以下に示しておく。 |
@ 有志による評議会:企業社長、士業、マスコミ、金融、行政などで社会貢献意識の高いメンバーで 構成。7〜9名が妥当と考えるが、現在は14名で少し多いと考えている。評議会メンバーについても 守秘義務の重要性を認識してもらうことで、入居企業との信頼関係も醸成される。(秘密保持契約も 結んでいる) A 起業家育精神についてはオーストラリアは米国と欧州の中間のレベルである。しかし行政は 起業家精神が不足していると考えており、学校教育にも採り入れている。起業家教育には「人の特性 (個人啓発)」と「ビジネス理解度(ビジネスセンス)」の二つがあると思う。 B ビジネス・インキュベータは「公設−公営」「公設−民活」「公設−民営」があるとしたら、 「公設−民営」であるべき。インキュベータは自主的運営(決定権)で行われるべきである。 C インキュベータをつくっていく際に、今後を見越して設立したのではなく、市場ニーズに対応して 展開してきただけである。 D 入居審査について「人(起業家)」「市場性」「革新性(含むパテント)」「投資可能性」「技術(テクノ ロジー)」があり、昔は「技術」を最優先していたが、現在は「人」を優先している。アートとサイエンスの 両方が重要ではあるが、欧米の仲間と話をしても建前的にはサイエンスというが、突き詰めて話すと アートを重要視しているのが事実である。特にアーリーステージであれば、なお更である。 E インキュベータはサービス業であり、入居希望者は口コミや紹介が最も多い。ビジネス支援団体 とのネットワークや、地元メディアとのネットワークが大切である。 F 入居利点について、入居者が当初気が付かず、後になってわかることが、「他の入居企業との ネットワーク 」と「ビジネス面のコーチングとサポート」の2点である。(部屋貸しはインキュベータ ではない) G バーチャル入居者というのは、入居しておらずにインキュベータのサービスを有料で受ける 起業家のことである。月一律100ドルもらうが、アーリーステージのメンバーが多い。 H オーストラリアでのビジネス・インキュベータに関するマーケット・サーベイの結果が人口10万人で 30社のインキュベータが成り立つという結果が出ている。しかし、キャンベル市では8万人で30社が 可能である一方、ブロンガル市(衰退傾向の市)では30万人で30社が可能であるように、同じ市でも 場所の選定は非常に重要である。(市場調査が大切である) I 新産業創出が活性化していない地域においては、ファシリテーターの存在と場の醸成が非常に 大切である。 |