■大阪市のビジネス・インキュベーション・システム その@
   現在、日本で地域としてのビジネス・インキュベーション・システムが
  出来上がりつつあるところは、大阪市のみではないかと思っている。
  先日、その中の最初にできたビジネス・インキュベータである
  「島屋ビジネス・インキュベータ」を訪問し、感動して帰ってきたところ
  である。
   先ずは、島屋ビジネス・インキュベータについて書いておきたい。
  ビジネス・インキュベータは1980年代初頭より欧米で発生してきたが、
  大阪市では1985年頃からシカゴを中心に欧米を調査研究し、1989年にビジネスインキュ
  ベーションのための機関である(財)大阪都市型産業振興センターを設立した。設立に際しては
  名称案として「大阪インキュベータ財団」も検討上がっていたとのことで、今から16年前の
  時代背景を考えると、びっくりすると共に感動してしまう。

   その後1990年に研究開発型として島屋ビジネス・インキュベータが開設し15年目を迎えて
  いる。見学中の説明を聞いていて、細かい改善がいたるところで施されており、積み重ねの歴史と
  機能の充実を実感した次第である。現在の入所企業は26社/163人で総売上が
  約13億円/年、卒業企業65社、退所企業3社の、合計94社が通産入居企業数である。
  IPO企業も1社出しており、何よりも一番の自慢は、卒業企業の生存率が86%(世界的に
  合格点が80%といわれている)ということである。現在の支援体制は、IM2名(経営担当、技術
  担当で3名体制のときもあった)と女性事務員1名とのこと。

   入居企業に上場を目指しているヴィストン(株)というロボットメーカーがあるが、この企業を
  中心に「チーム大阪」を組んで、世界サッカーロボット選手権でつい最近優勝したそうである。
  先週は中川経済産業大臣が島屋ビジネス・インキュベータを訪問して企業を励ますと共に、
  中川大臣にも喜んでもらったそうだが、その準備たるやいろいろと大変だったとのこと。
   
   島屋ビジネス・インキュベータには学ぶべき点が多々あり、熊本でも導入できることがあるが、
  モデル事業(平成18年3月まで)的な形で作られた県のインキュベータ施設「夢挑戦プラザ21」
  には、なかなか導入することが難しい面がある。このような象徴的なインキュベータが熊本でも
  設立されることを心から期待したい。