■ 士業信金研究会の発足

  つい先日、九州志士の会・熊本支部、地域診断士研究会、信用金庫の有志による士業・信金研究会(通称:士信研究会)のキックオフを行った。士業は企業経営・勤務経験を有するメンバー、信用金庫は企業支援力向上の意識の高いメンバーで、総勢11名による研究会である。私の問題意識からすると、「コーディネータを基軸にした企業継続支援イメージ」図に沿ったコーディネータの相互研鑽・育成研究会ともいえる。
企業支援のコーディネータという肩書はよく聞くが、本当の意味でのコーディネート力を有する人材は、地域においては非常に不足していると考えている。数学の能力で例えると、足し算・引き算から掛け算・割り算の世界に入った人に、微分・積分や各種応用を求めてられているような気がする。
といっても短期間に豊富な経験をすることは難しく、多様な経験を有する人材による研究会を集団化し、相互研鑽を通して擬似経験を積むことで、能力育成はできるのではないかと考えて、当研究会を発足させることとした。

  今から重要性の増す「金融機関と専門家集団との有効連携のあり方」は、
@ 財務諸表をベースにした経営分析対応は、原則的に信金サイドでできるものである。
従って異なる切り口を有する専門家との連携が、更に経営支援効果を大きくすることができる。
A 当研究会を継続することで、参加メンバーのコーディネート力が増し、民間での企業・士業・信金での連携体制を構築し、「全断面の経営者相談対応」を多くの業種を対象にできるようになる。
具体的に身につけたいことは、下記内容に力点を置いた企業支援を想定している。
*社長が気づいていない本質的課題を見出す
*課題の整理と優先度の明確化
*企業や専門家、支援機関の紹介
B その延長線上に、同様な研究会が地域で広がりをみせ、信金と士業集団(例えば九州志士の会・熊本支部)との「得意技連携」による企業支援が広がり、中小企業・零細企業への有効な支援体制が積み重ねられていく。

 具体的な実施企画について、メンバー間では共有されており、「今までになかったものを、メンバーと一緒に創り上げる」プロセスそのものも、新たな実感を伴った経験となる。将来的には各自がノウハウを活用して、企業向けや士業向け、信金向けの研究会を開催できるようなものに、みんなで仕上げていきたいと考えている。

 初心経営者育成の共育塾(現在8期生)、大学・熊本市共催の初心経営者育成の肥後創成塾(現在4期生)、企業内診断士とプロコン交流の場であるNPO法人地域診断士研究会(現在10年目)、士業連携の九州志士の会・熊本支部(現在3年目)、加えて新たに始めつつある「熊本の地域資源である、世界発信の地元起業家から学ぶ」中堅経営者塾、そして「企業支援コーディネータの相互研鑽の場」である士業信金研究会までの「中小企業・零細企業支援体制」の種蒔きができたことになる。
ここまでが、私ができる「中小企業・零細企業向けの新たな支援体制づくり」の種蒔きであり、このあとは参画メンバーが機能する体制づくりに向けて変化・成長・発展させてくれることを期待したい。