■時代を読むA 「SINIC理論」過去から現在
  めざましく変化を遂げる、暮らしと価値観。これから先、私たちには
 どのような未来が待っているのか?「SINIC理論」が描く、過去・現在・
 未来を見ていこう。

  この理論によれば、14世紀までの社会を「農業社会」と位置づけ、その
 基盤の上に「工業社会」を積み重ねたと考えている。この工業社会を
 さらに細分化すると、手工業社会、工業化社会、1870年以降の機械化
 社会、さらに20世紀に入っての自動化社会、20世紀末から21世紀の
 入り口までの情報化社会に至る、5段階のプロセスとしてとらえることが
 できる。
  工業社会において人類は物質的な豊かさを手にいれた。一方で、エネルギー、資源、食料、人権などの
 さまざまな問題が未解決のまま取り残されている。最適化社会では、こうした負の遺産が解決され、効率や
 生産性を追い求める工業社会的な価値観から、次第に人間としての生きていく喜びを追求するといった
 精神的な豊かさを求める価値観が高まると予測している。

  特に20世紀は、機械化社会、自動化社会、情報化社会と、3つの
 プロセスが 急速に移行する100年であった。そして、工業社会の最終
 段階である情報化社会の後には、2005年からの「最適化社会」、その
 あと2025年からの「自律社会」へ移行すると予測されている。現在の
 日本は、情報化社会を経て、その次の「最適化社会」に入りかかって
 いると言える。

  情報化社会では、知性という情報をON/OFFとか、1/0と
 いう数字情報で入出力していた。最適化社会では、この知性、
 感性をサポートしたり引き出したりする技術がより一層進化し、
 自然言語や人間の知性・感性そのものをダイレクトに入力し、
 出力され、表現、行動されるようになる。つまり、人間の知能、
 あるいは人間の感覚の一部が自動化されていく技術が基本
 になっていくのだ。
  「個人と社会」「人と自然」「人と機械」が最適なバランスを保ちながら融合する最適化社会において、
 オムロンは独自の技術で貢献していきたいと考えている。