■イノベーション考D
  トップポイント9月号で、新刊書『ドラッカーが「マネジメント」でいちばん伝えたかったこと』
 (ダイヤモンド社、小宮一慶著、1,575円)が採り上げられていた。この本の中では、ドラッ
 カーが「マネジメント」で最も重視していることとして、「マーケッティング」「イノベーション」の
 二つをあげており、「イノベーション考」の締めくくりに相応しいと考えた。
 この中から、「in brief」の部分と、マネジメントに関する記載部分を転記させていただく。
  20年以上もドラッカーの本を読み続けている著者が、「マネジメント」を分かりやすく解説」。自身の経営に
 対する考え方も交えつつ、ビジネスの成功に不可欠な原理原則を明らかにする。
 ●ドラッカーは、マネジメントには、次の3つの役割があるとする。
 @自らの組織に特有の使命を果たす。
 A仕事を通して働く人たちを活かす。
 B自らが社会に与える影響を処理すると共に、社会の問題について貢献する。
 
 ●マネジメントといえば、内部(自社)に目を向けがちである。だが、先ずは外部(社会やお客様)に目を
 向け、その上で上記の役割を果たすことが大切である。
 
 ●ドラッカーは、マネジメントにおいて、次の二つを重視する。
 ・マーケッティング :お客様が何を求めているかを考える。
 ・イノベーション :お客様が将来的に求めるものを探る。
 
 ●ドラッカーは、マネジメントの3つの役割を果たすには、「事業を定義すること」が大事だとし、次に3つを
 あげている。
 @自らの目的、使命 :会社がどうあるべきかを表わすビジョンや理念を策定し、社員一人一人にそれを
 浸透させる。
 A環境としての市場 :競合会社や技術革新などを分析する。
 B強みと弱み :自社にしか提供できない商品やサービスは何かを考える。
 
 ●ドラッカーは、「事業の定義は目標に具体化しなければならない。」と述べている。この目標設定におい
 ても、中心になるのはマーケッティングとイノベーションの二つである。
 
 ●ドラッカーは、「目標は、実行に移さなければ目標ではない。」という。目標を掲げたら、実行に移す
 ことが大事である。
 
 ●イノベーション
 ドラッカーは、「マーケッティングだけでは企業としての成功はない。」という。イノベーションも伴って、初めて
 成果をもたらすとしている。
 イノベーションを直訳すると、「革新」という意味だが、ドラッカーはイノベーションの役割について、「新しい
 満足を生み出す」と述べている。
 マーケッティングが「お客様が、今求めているもの」を探っておくことだとすれば、イノベーションは
 「お客様が、将来的に求めるであろうもの」を探ることだと、小宮氏は解釈している。
 マーケッティングはどちらかというと、現在を起点に考えていくが、イノベーションは、現在を踏まえながらも、
 来るべき未来のことを視野に入れて、会社がどうあるべきかを考えていくということだ。
 マーケッティングしながら、イノベーションするとともに、イノベーションの視点を取り入れながら、マーケッ
 ティングしていく必要があるということだ。
 その結果、何かしらの「新しい満足」を創造していくというわけである。
「イノベーション」に関して、いろんな方々の捉え方を紹介してきたが、次回には、
「イノベーション考」の6回シリーズの最後として、シリーズの整理・綜合化を行う
ことで、区切りにしたい。