■ビジネス支援図書館レポート@
 全国配信の中小企業診断協会月刊誌「企業診断ニュース」1月号に、報告記事として「地域のビジネス支援図書館推進レポート〜『ビジネス支援図書館フォーラムinくまもと』開催〜」が掲載された。
 2ページくらいの記事にはしてくれると思っていたのだが、冊子を見たら6ページに渡って掲載されており、ビックリさせられると共に、ありがたく感謝した次第である。中小企業診断士にビジネス支援図書館の概要も含めて知っていただきたいために、ガイダンスとして利用していただくように記事を作ってみたのが、よかったのではないかと思っている。



   「企業診断ニュース」1月号   P60〜65掲載  また今回の記事で、中小企業診断士サイドからのビジネス支援図書館推進の発信地が熊本であることを、全国的に印象付けることができたのではないかと思っている。当記事に対する、今後の全国からの反応が楽しみである。
 記事内容を含めビジネス支援図書館に関して、4回に分けて掲載することとしたが、先ず「中小企業白書2006年版」のコラムに掲載された「ビジネス支援図書館の活動」を紹介しておく。

ビジネス支援図書館の活動
 開業を準備する者や、開業間もない企業の経営者にとっては、ビジネスモデルに関するアイデアや、実行に移すための知識、経営管理上のノウハウといった情報を、限られたネットワークやソースの中でどのように入手するかが重要な問題である。この点、「ビジネス支援図書館」と呼ばれる、公共図書館によるビジネス支援活動が注目を浴びている。
 これは、地域の図書館が持つ豊富な情報の蓄積と、司書によるレファレンスをもとに、創業者や経営者へ情報の橋渡しの役割を担うことで、地域における開業活動や中小企業経営等を支援するものである。2001年度にビジネス支援に取り組む図書館は全国で4館に過ぎなかったが、2005年7月には30館を超えるに至っており※、取組を検討中の図書館も多く、着実な広まりを見せている。

ビジネス図書館コーナー
(熊本県立図書館)

ビジネス相談会の様子
 
 支援に向けた取組は図書館により様々だが、代表的な機能としては、[1]図書館としての公共性を活かして大量に蓄積した幅広い分野のビジネスに役立つ文献・雑誌等紙媒体の情報を、ビジネスをキーワードに集め一覧できるようにして提供したり、インターネットやデータベースといった電子媒体を無料で提供していることや、[2]必要な情報へどのようにアクセスすればよいか分からなくとも、情報収集のノウハウを持つ司書によるレファレンスサービスを受けることができること、[3]平日のみならず土日も開館しているため、フルタイムの仕事を持つ者にも利用しやすく、無料であることと併せて、誰にとっても敷居が低く利用しやすい公共施設であること、[4]図書館によっては行政や商工会議所、大学等専門的なノウハウと機能を持つ機関と連携を図っており、情報へのワンストップ的なアクセス窓口となっていること、[5]開業セミナー等の開催による情報発信を挙げることができる。
 具体例として品川区立大崎図書館の活動を見ると、モノ作りに関する情報を中心に、4000冊以上の専門書やビジネス書、8種のオンラインデータベース、約80誌のビジネス雑誌・新聞を取り揃えるほか、品川区産業振興課からのコーディネータの派遣や、NPOによるよろず相談会、経営者や技術者同士の交流会の開催等外部機関との連携を実施しており、知識やノウハウを有する協力者の参画を受けることで、ニーズに合った情報や奥行きのある支援を提供している。
       品川区立大崎ビジネス支援図書館  http://lib.city.shinagawa.tokyo.jp/bl/osaki_bl.html
 ビジネス支援に取り組む図書館の広がりとともに、このような地域に密着した取組を通じて、開業活動の活性化や、開業間もない企業の生存率の向上につながることが大いに期待される。  
<ビジネス支援図書館の関係書籍紹介>

「未来をつくる図書館 −ニューヨークからの報告−」菅谷明子著、岩波新書

「浦安図書館にできること 図書館アイデンティティ」常世田良著、勁草書房