■ 熊本の民間初のインキュベータ
 
 熊本の経済雑誌「くまもと経済」の村上さんから、「熊本で民間初のインキュベータ」が動き始めていることを教えてもらい興味を持っていたが、なかなかコンタクトを取ることができないままでいた。民間インキュベータを作ったのは未来開発株式会社で、「未来サポート」という施設名である。
今年2月の県立図書館のビジネス支援セミナーの会合で、「未来サポート」を担当している未来開発・森氏と名刺交換をする機会があった。その後、未来開発を訪問し改造中であるインキュベータ「未来サポート」も見せてもらいながら、施設改造へのアドバイスを含めていろんな話をすることができた。
森氏とはその後はメールも含めて、種々のやり取りをするようになっている。


森氏の上司である未来開発の上田社長にもお会いして、ビジネス・インキュベータやJANBO、IM養成研修なども含めて、いろいろな話をさせていただいた。現在は試行錯誤の中での立上げを行っているわけであるが、少しでもお役に立てればと、民間インキュベータに関する記事やJANBO関連の資料を提供したり、ビジネス・インキュベータをスタートさせるにあたっての留意点等を助言したり、私なりに種々のアドバイスを行ってきた。
非常に立派な望ましい施設環境を作りかけているので、よりよいインキュベータにすべく「IM常駐の部屋を3階に作ること、入居者選定の重要性、支援メニューの充実、未来開発のクライアントの支援活用、交流会やプレゼン会合の開催、シャワー室の設置」など具体的な助言も行っているところである。

3階建てビルの3階に、約2000万円の予算で施設改造や機器の購入を行い、
10室のオフィスを設置しており、5月段階で2社だけが入居しているそうである。
現在も入居者募集を続けているようであるが、苦戦している状況にあり、側面支援をやって行きたいと考えている。民間企業がインキュベータを立ち上げることに対して、行政や公的起業支援機関との連携を模索してきたそうであるが、その難しさを痛切に感じているようである。
これを一歩進めるために特に重要なポイントとして、「国の行政サイドにあるJAN
BOとの連携」があることを伝え、できるだけ早く森氏をJANBOのIM養成研修の
受講をさせることや、可能であればJANBOの会員になることを薦めている。
JANBOのキーマンである梶川事務局次長や星野所長にも、「未来サポート」に関する情報は数回入れてきており、IM養成研修にも参加しやすい環境をつくっているので、何とか次のステップに進んでもらいたいと思っているところである。
インキュベータの将来に目処を感じるようになった場合は、2階も合わせてビジネス・インキュベータに改造する意向も持っているようで、数年後には是非そうなって欲しいと考えている。
公的インキュベータと異なり、民間インキュベータ運営は、副次効果も合わせて採算性が取れる状況づくりが必要であり、その分、公的インキュベータよりも真剣な取り組みが必要となる。
日本では公的インキュベータが圧倒的に多いわけだが、質に関係なく収入が確保される構造となっているために、公的インキュベータは一般的に「質の向上に対する取り組みが甘い」のが実情であり、このまま推移するとインキュベータの社会的存在価値は下がっていくことになるであろう。
入居者から「家賃が安いので入居する」ではなく、「家賃が高くても入居したい」と言ってもらえるインキュベータづくりが望まれる。今からは指定管理者制度の導入による公設民営や、民間インキュベータの設置(民設民営)が望まれる段階に来ているが、熊本においては、その魁として「未来サポート」には頑張って欲しいと思っている。