熊本のビジネス・インキュベーション
 私がIM(インキュベーション・マネージャー)になってから、早や5年目を迎えている。

 平成12年に県中小企業支援センターが新設され、PM(プロジェクト・マネージャー)として、「創業・経営革新の支援」に携わるようになった。種々の企業支援を行っていく中で、徐々に増える傾向にあった起業相談助言に関して、PMである私が「創業支援の経験不足」を感じるようになり、何らかの形で勉強する場を探すようになったことがIM活動への始まりである。
 JANBO自主事業(合計4期実施)の3期生としてIM養成研修を受講し、その後、翌年より経済産業省の事業に格上げされて、年間20名から120名の大量養成研修に切り替わり、それ以降に講師やインストラクターとして、養成研修に協力させていただいている。

 このような縁の中で、熊本初のビジネスインキュベータである「夢挑戦プラザ21」が平成14年10月に旧免許センター跡地に設置されたが、当時の県商工観光労働部の小山統括新議員や三浦参事と一緒になって、JANBOからの支援も受けながら、企画段階から携わりながら作り上げていった次第である。
将来のありたい姿も描いた上でスタートを切ることができ、潮谷知事を迎えての開所式で、大きな感銘を受けた。
残念なことは、3年後に当施設のその後の処置が決定されるということで、3年間の限定事業となり、仮インキュベータ的な側面を持った形でのスタートとなった。その後更に2年間の延長が決定され、現在に至っているところである。


 平成15年4月には、熊本大学インキュベーション施設が設置された。企画検討が始まる段階で、関係者へのビジネス・インキュベーションに関する説明や、JANBOの星野氏に普及啓蒙に来ていただいたり、熊本大学・瀬戸産学官連携コーディネータにIM養成研修受講を薦めて受講終了したりして、側面サポートさせていただいた。当初から私はインキュベーション施設の外部運営委員として、入居者選定・審査や運営に参画もさせていただいている。
ただ文部科学省事業ということもあり、インキュベータ的な色彩よりも研究室的な色彩が強い傾向になっている面も感じられる。


 今年に入ってから、インキュベータに関する新たな動きが3つでてきた。
先ず、中小企業基盤整備機構を中心に熊本県、熊本市が協力する形で、南熊本駅付近に大学連携型バイオインキュベータが建設中である。ここの責任者である木村氏はIM養成研修修了者で、私がインストラクターとしてサポートし現在もいろいろなやり取りも行っているところである。来年2月末稼動開始を目指して進行中である。私のほうでも入居企業の発掘や、バイオ施設に詳しい方の紹介を行ったり、側面支援を行っているところである。
 次に荒尾市に県の助成を受けて、3室くらいの規模でのインキュベータの設置が行われつつある。荒尾市では平成13年に産炭地の新産業振興策に関する検討委員会が開催され、私も委員として参画したが、このときにビジネスインキュベータの設置を提案したことがある。JANBOの星野氏にも啓蒙普及に来ていただき、民間人である牛嶋氏を商工会議所で雇用し、平成15年度のIM養成研修にも参加してもらった経緯がある。先日も議会採決前ではあったが、荒尾市を訪問し具体運用等に関する提案を行ってきたところである。
 更に熊本市においては、熊本市地域活性化プロジェクトの起業・経営革新支援施策チーム(私がチームリーダーに就任)の提言に基づき、昨年10月に産業文化会館の4階に創業・経営革新を支援する場として「中小企業経営サポートプラザ」が開設された。そして今年度に提言を踏まえてのプレインキュベータ的な意味合いの「チャレンジフロア」が検討されているところである。
熊本における全てのビジネス・インキュベータの設置に関して、私が何らかの形で絡ませていただきながら、実現したり実現に向かったりしているわけであるが、ビジネス支援図書館の推進や中高生の自立化教育と合わせて、「社会インフラとしてのビジネス・インキュベーション・システムづくり」に全面的に参画できていることを嬉しく思っている次第である。

リージョンIM活動の模索から、近いうちに具現化に向かうことを目指していきたい。