■浦安図書館

 
 日本のビジネス図書館の草分けといわれている「浦安図書館」を訪問した。
電気通信大学の竹内さんの紹介で、元館長の常世田さんと面談することができ、館内も案内してもらい楽しい一時であった。図書館の機能の一つとして、ビジネス支援も行っていることになるようだが、集客力の高さは、BIP(ビジネス・インキュベーション・プラザ)のあり方や、熊本市の経営サポートプラザなど、いろんなことに応用できるヒントが隠されていると考えており、そのような視点で話をお聞きしてきた。浦安図書館と他の図書館とのデータ的な差がどんなものかを以下に例示しておく。
 @ 市立図書館の活用状況は、一般的に市民の2、3割であるが、
   浦安図書館は5、6割となっている。
 A 一般的に大人の利用者が半数くらいであるが、浦安図書館は
   8割である。
 B 一般的に図書館職員の中で司書の数は少ないところが多いが、
   浦安図書館は全員が司書である。
 C 子供図書館の担当司書は、幼稚園や福祉施設を訪問して、
   年間200回の出張読書会を行っている。その結果、子供の
   来館者に対して貸し出し数は極端に多くなっている。
 D 14万人の市民であるが、点字翻訳や音読などのボランティアが
   合計200名ほどいる。
 このように他の図書館との違いがはっきりと出ているが、大切なことは「図書館としての基本の徹底」であり 、特別なことをやっているわけではないとの話であった。図書館の基本とは、「選書力を常に高める」、「利用者ニーズの把握と対応に努める」「レファレンス力を高める」の三点であるとのこと。それに、資料費は他の図書館より多く予算化しているようで、毎週1000〜1500冊入荷しており、蔵書も200万冊あり、普通の県立図書館並みとのことであった。

 デジタル化の波に対して、図書館情報としては印刷媒体だけでなく、デジタル媒体も同時に提供できる「ハイブリッド・ライブラリー化」が必要であり、当然職員の必要能力も変化し、レイアウトについても 抜本的な見直しが必要であるようである。いろんな意味での刺激を多く得ることができたので、今後の活動に活かしていきたいと考えている。

 レポート等で、熊本県、くまもとテクノ産業財団、熊本市の方々に対して、ビジネス支援図書館に関する情報を提供し始めている。