■手塚治虫の火の鳥@
 先日、ある人と雑談をしている中で、相田みつを著作の「にんげんだもの」について、話をする機会があった。「相田みつをの書は、『全体から醸し出す温かさ』がある。年齢を重ねるごとに、また心のあり方により、同じ書が『厳しい状況のときには励ましの書』に、『順調なときには戒めの書』になったり、読むたびに心が新たになる。私は20年ほど前にこの書と出会い、それからは年に1度くらいの頻度で、繰り返し読むようにしている。」というような話をしたりしていた。


 そのときに彼が、「手塚治虫の火の鳥(マンガ本)を読んだことがありますか?」と聞いてきたが、私は「手塚治虫の火の鳥は有名だし、知ってはいるが読んだことはない。」と答えたところ、次のような話をしてくれた。
 彼が言うには、「火の鳥」も相田みつをの書と同様に、読み返せば読み返すたびに新しい発見があり、人生の書として一度は読んでみるべき本であるとのことであった。彼自身も若いときから時々読み返すようにしているとのこと。

 どのくらいの冊数があるのか話を聞いてみると、黎明編、太陽編など相当たくさんあるようであり、彼もよく把握していないようであった。
 どのようなものなのかを知るためにも、とりあえず全体像を把握してみることにチャレンジしようと考えた次第である。

 インターネットで調べたところ、いろんなバージョンも含めてあるようである。

 例えば角川書店の火の鳥は全13巻でできている。黎明編、太陽編(上・中・下)、ギリシャ・ローマ編、未来編、ヤマト・異形編、鳳凰編、復活・羽衣編、望郷編、乱世編(上・下)、宇宙・生命編の13巻である。それも文庫本で13巻、コミック本で24巻発行されているようである。

 ウィキペディアで調べると、23編あるようだ。黎明編(未完成)、エジプト編、ギリシャ編、ローマ編、黎明編、未来編、ヤマト編、宇宙編、鳳凰編、復活編、羽衣編、望郷編(COM版)、乱世編(未完)、望郷編、乱世編、生命編、異形編、太陽編、大地編(シノプシスのみ)、アトム(再生?)(構想のみ)、現代(完結)(構想のみ)、休憩INTERMISSION、火の鳥2772愛のコスモゾーンと記載されており、この中には未完成のものもたくさんあるようである。 

 ウィキペディアの「火の鳥」の概要には、以下の記載がされていた。  

 手塚治虫が漫画家として活動を始めた初期の頃から晩年まで手がけられており、手塚治虫のライフワークといわれている。 古代から超未来まで、地球(主に日本)や宇宙を舞台に、生命の本質・人間の愚行・愛が、手塚治虫自身の思想を根底に壮大なスケールで描かれる。この作品に、多くの漫画家が影響を受けた。

 最初に連載されたのは1954昭和29年)、学童社の『漫画少年』の「黎明編」(後に『COM』に連載されたものとは違う)だったが、学童社はその後約1年ほどでつぶれてしまい、この「黎明編」は未完に終わった。その後、「エジプト編」・「ギリシャ編」・「ローマ編」が『少女クラブ』に連載され、それ以降の作品は、『COM』、『マンガ少年』、『野性時代』に連載された。

 『COM』以降の作品は、過去と未来が交互に描かれ、だんだん現代に近づいていくという構成になっており、最後は現代を舞台とした物語になるはずだった。各編はハッピーエンドに終わることは少なく、主人公たちは悩み、苦しみ、闘い、運命に翻弄され続ける。

 いずれは『鉄腕アトム』等の代表作と繋げていく予定だったらしい。万物は輪廻するという考えが作中に見られるが、後半に進むにつれその設定をかき消してしまっている。理由は不明。「太陽編」もカットされた部分に輪廻という要素が見られた。

    
   
       

 このようにボリュームが大きくなってくると、私には取り組むことがなかなか容易でないことになる。そこでアニメ化されていたと思ったので、その辺がどうなっているのかを調べてみた。

 調査した結果、NHKで放映されたものが、現在はDVD版として販売されており、これは次の13編で成り立っており、6枚のDVDに集約されていることが分かった。

 黎明編(1、2、3、4)、復活編(1、2)、異形編、太陽編(1、2、3、4)、未来編(1、2)の合計13編である.

  全部見るとしたら、7時間くらいのボリュームであることも分かった。このくらいであれば、何とか一通り見るだけでもできると思い、早速、DVDを借りることとした。おかげで今回の連休に2日間に分けて全編を見ることができた。

 NHKアニメの概要解説がインターネットに掲載されていたので、DVD版の「火の鳥」全編がどのようなものかを、分かっていただけるように、次回にそれを紹介することとする。