■にんげんだもの

   昨年12月に行なった共育塾1期生・修了式の時に、20年ほど前にベストセラーになった
 相田みつを著の「にんげんだもの」を、塾生全員にプレゼントした。
  その本の裏表紙の片隅には、以下の言葉を書き添えておいた。
   
   共育塾1期生 @@@@君へ
   共育塾で共に培ってきた「チャレンジ精神」を大切にし
   一度しかない自分の人生を、夢に向かって自ら切り開き
   あなたの無限の可能性を活かしきってください
   人生の転機には、この本を思い出し活用してください
   平成19年12月  共育塾塾頭  横山 耕二  
                     
  何故、「にんげんだもの」をプレゼントしたのかについて触れさせていただく。
 平田機工の平田会長から会食懇談の時に、「経営者は一生懸命に経営をやっていると
 いい時もあれば、どん底に落ち込むこともあるのが当たり前である。」
 との話があった。従って経営者には精神的に強靭さが要求されるが、経営者としての経験が
 浅い間は未熟であるため、ぶち当たったときに悩み・苦しむ中でそれらを克服していくたびに
 精神力も鍛えられていくと思っている。共育塾1期生は、まさに現段階では修羅場の経験が
 乏しい段階にあり、今から経験を積んでいくことになる。
 そのときに、感情に左右されず、第3者的な観点で自社の状況を見据えることができるよう
 に、「経営者がピンチやチャンスを迎えた時の自省の書」として相応しいと考えたからである。
  「にんげんだもの」については、多くの著名な経営者だけでなく、美空ひばりや石原裕次郎も病床に置いて
 いたという話を聞いたことがあるが、どん底の時には「励ましの書」となり、有頂天の時には「自省の書」と
 なり、心のあり方によって同じ文章から発せられる言葉の解釈が変化するような、「人生の応援書」である。
 私が20数年前に、仕事上で完全に自信をなくし、どん底状態にあったときに
この本に出会ったことが大きなきっかけとなり、ピンチを克服することができた。
毎年、自省の念を込めて必ず目を通している本である。
凄みのある言葉もたくさんあるが、どん底状態の時の励ましの言葉としては、
題名にもなっている
「つまづいたっていいじゃないか  にんげんだもの」
が、秀逸ではないかと私自身は考えている。だからこそ、題名にもなったのだと思う。
この凄い言葉との出会いは、私の生き方に大きな影響を与えただけでなく、「自分の
生きざまづくり」の原点になったと思っている。
  私は相田みつをの書の中を「心、ご縁、命、捨てる」(=感謝)の4項目に分けて整理している。
 各項目の最も感銘する言葉を紹介して、当コラムのまとめとする。
   心  : つまづいたっていいじゃないか  にんげんだもの
   ご 縁: そのときの出逢いが 人生を根底から変えることがある よき出逢いを
   命  : 永遠の過去の命を受け継いで いま自分の番を生きている
          それがあなたの命です それがわたしの命です
   捨てる: 古いものを出さなければ 新しいものは入らない