■時代の変化への対応@

  今年度より、中小企業診断協会・熊本県支部の理事になったこともあり、
 冊子「企業診断くまもと」の巻頭ページ「羅針盤」への寄稿を要請された。何を書こうかと
 いろいろ考えてみた結果、「時代の変化への対応」というタイトルで作成したので、
 コラム欄に2回に分けて掲載することとした。
 中小企業診断士として企業の診断・指導に際しては、いつも「時代の変化への対応」が
 必要であると企業に言っているわけだが、中小企業診断士も同様に「時代の変化への
 対応」が望まれているわけでありそこに焦点を当て提言をしてみた次第である。
  1990年代初頭のバブルが崩壊により、高度成長経済から低成長経済に移行して20年近く経つが、
 この間での経済社会の変化は凄まじく、ご承知のように中小企業のあり方にも大きな変化をもたらして
 きた。中小企業や商工行政をクライアントとする中小企業診断士(以後は診断士と略す)のあり方に
 ついても、同じことがいえるのではないだろうか。
 「失われた10年」を経て、ようやく国の中小企業施策も大きく舵が切られた。
1999年秋の国会(中小企業国会)で中小企業基本法の抜本改正が行われ、
中小企業政策の基本指針が「弱者救済」から「次世代を担う、やる気のある、多様な
中小企業支援」にシフトされた。それに伴い2000年春に「中小企業指導法」が
「中小企業支援法」に変わり、行政のスタンスも「企業指導」から「企業支援」に切り
替わり、診断士についても改めて位置付けされた。
   診断士は、「中小企業施策を行政と連携して中小企業に対して普及・浸透し、中小企業の活性化を
 推進する」役割を有しているが、中小企業支援法が成立した段階で、「民間のプロコン」的な位置付けが
 強調されるようになった。
 数年前には「診断士は国家資格として必要か?」との国会議員の疑問提示に基づく議論の結果、その
 必要性が再認識されたところでもある。
  別の側面からみても、地方分権に向けての「三位一体の改革」で、国と地方の財源配分の見直しが
 行なわれ、行政予算の組み方においても、既に大きく厳しい影響が出始めているといえる。
 現に行政予算の削減で、専門家派遣事業等の診断士が関係する各種事業も縮小傾向にある。それに
 加え、団塊の世代の大量退職が進むにつれて、企業の「個別課題解決」に適した企業OB人材(エキス
 パート)の活用など、診断士以外の人材活用の多様化も進んでいる。将来的に道州制に移行した
 場合には、県域を超えた診断士活動が活発化し、地域における診断士のあり方にも大きく影響を与える
 ことになる。