■道州制について

   全国知事会での議論、経団連での議論が道州制を目指すことを前提としたものになっていると共に、
 市町村合併がここ数年で急激に進み、市町村の数が従来の半分以下になり、更に合併が進んでいる
 現状を考えても、県の存在の見直しが行われるタイミングにあるといえる。
 道州制に関しては、1993年の臨時行革推進協議会で道州制の検討が答申されたことに始まり、99年の
 市町村合併特例法改正(平成の大合併)、04年の都道府県合併を容易化する地方自治法の改正が
 行われ、06年に地方制度調査会が道州制を求める答申を行うというプロセスを経て現在に至っている。
 各方面からの情報によると、安倍内閣になって「中央省庁の再々編」及び「都道府県の再編・統合する
 道州制」の議論が、ますます具体化する方向にきつつあるようである。この動きの中では、当然国家
 公務員の削減も避けて通れない課題であり、国の出先機関の20万人の国家公務員が10万人削減と、
 半減化されることになるようである。
 地方分権改革の決め手となる道州制の導入は、まさに「地方の時代」の幕開けともなる。
  現在議論されている道州制の概要を、日経新聞から抜粋して記載しておく。
 道州制とは、現在47ある都道府県を再編した上で、国の出先機関の機能を吸収し、道や州
 を設ける制度改革のことである。国は外交や防衛、金融、行政などに特化し、産業振興や
 福祉、教育など内政面は、道州と市町村が担うようになる。
 政府の地方制度調査会が2006年2月にまとめた答申によると、全国を10前後(9〜13)に分け、
 道州の長と議員は、現在と同様に住民が直接選挙で選ぶ。但し、道州の長の権限が強大になるために、
 多選禁止を提案している。道州議員の選挙は現在のように、市や郡で選挙区を設ける方法と、
 比例代表制を採用する案と併記してある。
 類似の制度に米国などの連邦制があるが、米国の州は独自の法律を持ち、司法権を有する一つの国
 のような存在だが、道州はあくまでも地方自治体で、司法権はない。
   このような動きの中で、経済環境が厳しい県の多い地域では道州制に対する慎重論も浮上して
 きているが、九州については九州知事会も九経連も非常に積極的な推進派のようである。
 九州は地理的にもアジアへの玄関口に当たるし、半導体産業、自動車産業、新エネルギー産業のほか、
 農林水産業も優れたものを保有しており、分権化では優位性を発揮できるからではないかと考えられる。
 それから現在、県域・県益があることによる種々の弊害も顕在化しており、是非早い段階での
 「県の垣根の撤廃」が進むことも期待したいものである。
  また九州については、当初は3分割案もあったようだが、現在は、南九州と北九州に
 分ける案と一体化案が有力のようである。一体化した場合の、九州の人口は1335万人
 となり、また経済規模的にもオランダには及ばないが、スイスやベルギー、スウェーデンより
 上位に位置することになるようで、すごい力を持っていることになる。
 熊本に住んでいる私としては、戦前から熊本は九州行政の中心地であったこともあり、
 是非州都・熊本の実現を期待している。現実の議論の中で、熊本が州都、福岡が経済中心
 となる構想もあるようで、熊本市の政令指定都市化が早く実現し、合意形成が進むように
 なってもらいたいものである。