■生きがい、やりがいについて
  
  人それぞれに、自分なりの生き方があり、その考え方に基づきそれぞれの社会活動を行っているわけ
 だが、本質的には、誰でも『「生きがい、やりがい」をもって、限られた人生を本当に自分のものとして生き
 ていきたい』と思っているのではないだろうか。
  私は今まで種々の経験をしていく中で、多くの方々と同様に悩み苦しみ、人や書籍、
 実体験から多くの「ものの見方と、考え方」を学んだ結果、『「生きがい、やりがい」は「自己
 向上+社会貢献」意識で成り立つ』と考えるようになった。また、成功とは「自分にとってやり
 がいのある目標を、前もって設定し、段階を追って実現していくこと」とP.J.マイヤーが
 述べているが、私の好きな言葉の一つである。

  私は昨年、還暦を迎えたわけだが、若い頃とは時間に対する感覚が大きく変わってきており、1年1年の
 大切さを痛感している今日この頃である。社会経験の乏しい若者の「自分探し」とは一線を画して、社会
 経験の豊富な中高年の「それなりの社会経験は積んで、現在に至っている。今からの限られた人生を、
 どのように生きるか」という真摯な「思い」をベースに置いての「生きがい、やりがい」について、京セラ・稲盛
 氏と日産・ゴーン氏の言葉を借りて、整理しておきたい。

   私は京セラ創業者・稲盛和夫氏に共感するところが多く、多数の著書や関連書籍も、機会があれば読む
 ようにしている。日本的経営者であり、求道者でもあり、「生きざま」も含めて、多くの学びを得ることのでき
 る経営者である。稲盛和夫氏は、「生きる目的は、自分を磨くこと、心を高めること」と著書にも書いて
 いるが、この言葉にも大いに共感している。
  稲盛氏の著書「生き方」に書いてあったことで、特に心に残ったことを抜粋して書いて
 おく。 人間のあり方を示す「倫理や道徳」を、日常を律する確かな基軸として置き、
 「動機善なりや、私心なかりしか」に照らして徹底的に考えた上で、決断を行うそうで
 ある。また「世のため、人のため」という「思い=使命感」を持つことは大切であり、
 「思い」が実現につながるとも書いてある。人生では「知識より体得を重視する」という
 ことも大切であり、知識に経験が加わって初めて、ものごとは「できる」ようになるとも
 述べているが、私も大いに実感している。
   人生とは、その「今日一日」の積み重ね、「いま」の連続に過ぎない。「今日一日を懸命に生きる」ことの
 繰り返し、この「継続の力」が平凡を非凡に変える。心を磨く「6つの精進」として、
        @誰にも負けない努力をする、A謙虚にして驕らず、B反省ある日々を送る、
        C生きていることに感謝する、D善行、利他行を積む、E感性的な悩みをしないと、
 自分に厳しい姿勢を貫いている。
 働く喜びは、この世に生きる最上の喜びであると述べている。また、自分の成功理由は「人間として正しい
 ことを追求するという単純な、しかし力強い指針があったこと」と述べている。

   日産自動車を再生したカルロス・ゴーン氏には、就任1年くらいの時のNHKのインタビューでの話を聞い
 ていて、「ここまでロジカルに話せる人を初めて見た」とショックを受けたことを印象深く覚えている。
 欧米的経営手法だけでなく、日本的経営も組み入れて戦略を練り、結果を出していくやり方は素晴らしく、
 その後は折に触れて記事を読ませてもらっている。  
 最近の日経ビジネスに掲載されていた記事の中で、「働くことの本質とは」のテーマで、日本人にも分かり
 易く書いてあったので、要約して書いておく。
 ゴーン氏は、「働くことの本質とは、使命感を持って貢献すること」と述べている。社会や会社、自分の
 家族に貢献すると共に、「仕事を通して自分を鍛える=自分への貢献」も含めて考えている。
 その際に重要なのは、目標設定である。その目標は「高すぎず、低すぎず」チャレンジの価値ある目標を
 設定し、それを達成したときに、大きな喜びと自信を実感し、次の目標へ挑むエネルギーを得ることが
 できる。教育が非常に大切で、子供の能力を伸ばし、限界に挑戦する姿勢を身に付けさせる上で、親の
 果たす役割が大きい。若い人にはこう言いたい。「いつも心を開いておけ。あまり先まで見越して計画を
 立ててはいけない。遠い将来を考えすぎると、今が見えなくなり、せっかくのチャンスを逃しかねない」と。
 休日は徹底的に休むことであり、ストレスに勝つにはまったく別のことを考えることが必要である。

  「自分の人生は、自分の心が創る」というジェームス・アレンの言葉があるが、生涯現役を
 目指し、常に変化・成長・発展を求め続け、「生きがい、やりがい」をもって、「いま、ここ」を
 大切に生きていきたいと考えている。