■トップポイント

「一読の価値がある新刊書」10冊を毎月紹介している「トップポイント」という冊子があり、私も昨年2月より購入するようにして活用している。ある意味ではコピーライトに抵触する側面を持っており、著作権的にどう処理されているのかよく分からないが、私自身としては非常に重宝しているので紹介しておきたい。

 月刊誌で新刊の10冊を選書して紹介してあり、その内容は下記のとおりとなっている。
最初の見開き2ページに、「各書籍の概要(CONTENTS)」を200字前後で紹介して
あり、概要一覧ができるようになっている。
次のページから、各書籍の内容が各4ページにわたり紹介されている。最初のページには、「書籍の表紙の写真」「主要な目次」「著者の紹介」がされ、さらに800字くらいで
纏められた「簡潔版(in brief)」が記載されている。残りの3ページに、5000字くらいで「全体内容のダイジェスト版」として記載されているという構成である。
最後のほうに、それに次ぐ紹介したい書籍12冊分の「One−Point Review」や、
「月間ベストセラー」の紹介がなされているという至れり尽くせりの冊子である。

 私のトップポイントの利用の仕方は、
先ず、「各書籍の概要(CONTENTS)」を一通り読む。その中で興味のある書籍の「著者の紹介」や「簡潔版(in brief)」を見た上で「全体内容のダイジェスト版」をじっくり読み、概要を知ることでエキスを吸収したり、さらに興味を持った場合は書籍を購入して読むようにしている。
また時間的余裕があるときには、「簡潔版(in brief)」までを一通り読んだり、ついでに「全体内容のダイジェスト版」まで読むケースもある。
  トップポイントの記載内容に非常に興味を持ち、書籍を購入して読んでみて思うことは、やはり著者の真意を理解するには本を購入して読む必要があることである。
参考までに、トップポイントから書籍購入まで行った最近の例として、現在ベストセラーになっている藤原正彦著の「国家の品格」があるが、その「書籍の概要(CONTENTS)」と「簡潔版(in brief)」までを以下に紹介しておく。
なお、この書籍に頻繁に出てくる「情緒と形」という言葉の中の「形」は、「道徳や倫理」のことであると、ある対談で述べられていた。またその対談の中では、昔の誇れる日本を取り戻すために必要なこととして、「国語教育の重要性」と「美しい自然を取り戻す努力」が上げられていたことを追記しておく。
<CONTENTS>
現在、わが国では、グローバル化は推進すべき、との論調が主流である。
そんな中にあって、この趨勢に闘いを挑み、「孤高の日本」たれと説く、異色の日本論。
欧米社会の根底にある「論理」、そして「自由」「平等」といった概念の限界を明らかにするとともに、わが国古来の「情緒と形」の大切さについて述べる。今日本に必要なものを示し、
日本人に自信を与える一冊だ。
<in brief>
戦後、祖国への誇りや自信を失った日本人は、わが国古来の「情緒と形」を忘れ、欧米の「論理と合理」に身を売り、国柄を失った。しかし今日、世界を支配した欧米の教義は破綻しつつある。今こそ日本は、かってなくした「国家の品格」を取り戻さなければならない―――。そう主張する著者が、論理の限界を明らかにし、情緒や形の意義を問い直す。
● 今、世界が荒廃している真因は、西欧的な論理と近代的合理精神の破綻にある。論理や合理は非常に重要だが、人間はそれだけではやっていけないということが明らかになってきたのだ。
● 論理を徹底しても、人間社会の問題は解決できない。その理由は、次の4つである。
@人間の論理や理性には限界がある。
A人間にとって重要なことの多くが論理的に説明できない
B論理には出発点が必要であるが、それは主として人の情緒によって選ばれる。
C一般の世の中では、論理は長くなりえない。(論理は1か0の世界である)
● 欧米が近代社会を構築する際に、「論理の出発点」としたものの多くはいい加減である。例えば、民主主義の前提は「国民が成熟した判断ができる」ことである。だが、いつの時代も国民は世界中で未熟であり、この前提が成立することはない。
● 論理の出発点を正しく選ぶためには、論理に日本人の持つ美しい情緒や形を付加しなければならない。
● 戦後の日本は、繁栄の代償に「国家の品格」を失った。これを取り戻すには、現代を荒廃に追い込んだ
自由や平等よりも、情緒や形が上位にあることを、日本人それぞれが身を持って世界に示さなければ
ならない。