■新連携推進での国・県連携の必要性

  局によっては、すでに新連携案件の発掘の先細りが懸念され始めているようである。
 九州モデルにおいて大切に考えていることに「新連携の企業発掘」→「新連携体構築の支援」→
 「新連携事業化の支援」のプロセス支援を行う「育て上げ方の支援体制」
があるが、その重要性が
 再認識され始めているのではないかと考えている。
 その際に最も大切なことは「国・県の連携」であり、これを抜きにしては継続的な新連携案件企業の発掘は
 難しいことに気付くことが必要である。
3類型の支援センターがうまくいかなかった理由に、国と県のセンターが重複したエリアの中で、「セミナーの開催」や「相談窓口」「専門家派遣」などについて、「同じようなことをレベルの棲み分けをして実施するしくみ」がある。その結果、国は上場支援などレベルの高いことをやるといいながら、実質的には県と似たような活動に終始したり、結果として県が被害者意識を持つような事象が発生したりしたために、国と県が連携ではなく、事実上の競合を行ってきた面があるように感じている。「高度なものを国がやり、そうでないものを県がやる」など、境目のない役割分担などありえず、WIN−WINの関係などできるわけがないので、当然の帰結である。
最近になってようやく国・県連携を目指した活動努力が始まっているようであるが、残念ながら3類型の支援センターのしくみは、次年度からはスキームとしてはなくなるような施策変更が行われている。(半面、施策の継続・育成に関する問題もあるのだが・・・)
  新連携支援においては、この反省を踏まえての競合関係ではなく協力関係を作ることが必要である。
 そのためのポイントは、以下の2点であると考えている。一つ目は、県の商工予算が減額されている
 中で、「国の予算を積極活用することで、自県の企業支援予算の確保を図る」ことをアピールする
 ことがある。当然県間の競争原理が働くことになる。二つ目は、新連携認定に関して「国との連携支援に
 よる県の成果」
として対外的にアピールすることがある。国はインテリジェント・サーバーに徹しすることで、
 県からの本音の情報を収集し、将来施策に繋げるしくみづくりもできることになる。
 従って私自身は、この二つのことをいつも念頭に置き、各県の支援人材との接触を行っている。

  ここに私が行っている「2つのトライ」を紹介しておきたい。
 まず私は、全国で唯一の「県中核的支援機関の支援人材」兼「新連携担当PM」であり、
 国と県に片足づつ置いた状況にある。この立場を利用して、熊本県の中に新連携活用を
 推進していくしくみをつくりたいと考えている。
 具体的には、新連携支援に関しても「テクノ財団、工技センター、知的所有権センター、商工
 会議所、商工会連合会、団体中央会、熊大」など多くの機関の支援人材との人的連携を行う
 ことを考えている。既にいくつかの機関の支援人材とはルートづくりが済んでいることになる。
 そして一緒に認定に向けての企業支援を行う中で、支援人材に新連携への理解を深めて
 もらい、県で単独推進できる支援人材づくりを行うことである。

  次に私は、支援センター活動でのPMネットワークとJANBO活動でのIMネットワークを持っており、九州
 各県とのパイプもある程度持っている。この立場を利用して、各県に新連携支援への理解者を増やしていく
 ことができるのではないかと考えている。
 具体的には、「各県の中核的支援機関、団体中央会、公設試」等の企業支援人材との人的連携を行う
 ことを考えている。
 すでに大分県とは大分産業創造機構の安部IMとの連携で、新法普及事業を使ってのセミナーでの事例
 紹介(新連携の啓蒙)を行った後に、安部IMの新連携案件と想定できる企業3社を二人で訪問し新連携
 案件へのブラッシュアップと案件抽出(新連携支援の実践と暗黙知の移植)一緒に行い、安部IMには
 「経営 革新→新連携の流れを活用しての企業支援」をイメージしてもらえるところまできている。
 安部IMには、すでに独自活動を行ってもらえる域に達していると考えている。

 このような方向で、国・県連携の芽が育っていくことを進めていきたいと考えている。