■次なる世界秩序づくりに貢献できる日本の文化
ハマス(パレスチナ・ガザ地区)とイスラエルの戦争勃発により、世界中の不安定さが極大化しています。
ロシアのウクライナ侵略、中国・台湾関係の緊張、北朝鮮の核武装、欧米世論の2極化(自国中心主義vs国際協調主義/民主主義vs専制主義)など悪い方向に向かっている感じがします。
米国の弱体化・不安定化も進んでおり、一方の中国も中長期的な課題「国内経済の悪化、若者失業率の悪化、少子高齢化の急進、戦狼外交への不信拡大、自国中心の中華思想」などなどを抱えて先行きが見えなくなっています。
そういう中で、ウェブを見ていて『世界に漂い始めた「第三次世界大戦」の兆候。ガザ危機で日本と中国が試される理由』(日本国際戦略問題研究所長・津田慶治氏の寄稿文)の記事を見つけました。その終盤に「次なる世界秩序作りに貢献できる日本の文化」という項目があり、私もいつも思っている内容(異文化の橋渡し役・日本)が書かれていました。
全く同感できる内容であり、以下に紹介したいと思います。





日本は、欧米諸国とは違い、イスラエルへの負の遺産がない。欧米はユダヤ人迫害の贖罪のため、パレスチナの地にイスラエルという国家を人工的に作り、そこにユダヤ人を送り込んだ。このため、そこに住んでいたパレスチナ人達が、祖国を追われたことが始まりである。しかし、日本は、欧米と同じような価値を持っている。自由や民主主義や市場経済という普遍的な価値観である。
しかし、この価値観を他国に押し付けることもしていない。戦前は八紘一宇などを日本は押し付けることもしたが、戦後は欧米と同じ価値観を持つだけで、他国に押し付けたことはない。
欧米は、この価値観を多くの国に押し付けている。このため、多くが実情に合わないために、反発されている。
日本の役割は、現地の実情と普遍的価値の両立を図ることで、世界秩序を回復させることであろう。海外青年協力隊などが世界で活躍しているが、他国とは違い、現地に溶け込んでいる。
日本は、現地を「知」と「情」という2つの側面で見る感覚があり、日本も欧米文化を日本化して取り入れてきた。これを他の文化圏でも実行すればよいだけである。日本は多神教であり、いろいろな考えを取り入れるベースがあり、多様化してきたのである。この考え方が欧米以外の国で必要になっている。
この日本が行って、東南アジアは普遍的価値を取り込むことができたので、大発展しているのだ。これは、東南アジアも仏教文明であり、多神教であることが幸いしている可能性もあるが、日本の工場進出に伴う社員教育が国の文化を変えたことによる。
日本が世界に出ているが、覇権を取ることはできない。覇権には4つの条件が必要になる。軍事力が他を圧倒すること、経済力が他を圧倒すること、文化・思想レベルが他国に比べて高く、その文化・思想を広めようとすること、世界への支配体制を確立していることの4つである。
日本は現時点で、軍事力も経済力も他を圧倒していない。
このため、覇権国になることできない。
しかし、中国のような自由でもなく民主主義でもない独裁国が、覇権を取ると、人間の尊厳を壊し、人間の進化を止めることになる。
ということで、普遍的価値を共有する国が、共同で新しい世界秩序を作るしかないし、より多くの国に普遍的価値を広めることである。
これを広めるのに、日本文化が貢献できるはずとみている。米国の政治的混乱、累積債務の多さを見ると、米国は、近々覇権国ではなくなることが確実である。どう、次の世界秩序を作り、運営するのかを考えることが必要になっている。
日本は間違いなく「異文化の橋渡し役」に相応しい国ですが、「恥の文化」の影響かどうかわかりませんが、残念ながら自ら国際貢献のリーダーシップを発揮した経験がありません。これを機に「異文化の橋渡し役」にチャレンジすることを期待したいと思います。