■今年の新たな学び①

私の書いたHPコラムのタイトルを見返してみると、昨年は「座禅(仏教)」「日本精神(神道)」「資本主義の変質」など、そして今年は「哲学と宗教(西洋哲学、東洋哲学、宗教)」に関するものが多いのに驚いている。長年に渡り自身が追求してきた事柄に関して、新たな勉強する機会を得たと強く実感している。
というのも昨年、日経新聞の新刊書広告で出口治明著の「哲学と宗教全史」に目がとまり、ピンとくるものを感じたので、すぐ購入した。
ライフネット生命創業者であり、立命館アジア太平洋大学の学長・出口治明氏と書籍を通してご縁を得たことは、今からの自分の人生にとって貴重な出来事であったように思う。

出口氏が語っていたことを、いくつか抽出してみたい。
先ず『多様化・複雑化した時代になり、知識があまりにも細分化されて全体の流れや枠組みがどうなっているのか分かり難くなっている。そして世界中が利己的・近視眼的なモノの観方になってきている。哲学と宗教を同時に学ぶのは、世界を丸ごと理解するためである。』
まさに今の社会で「知識の細分化による部分最適」「世界中が利己的・近視眼的なモノの観方」に偏り過ぎているため、対極にある「知識を綜合化して理解する全体最適」「利他的・長期的な視点」が必要になっていることだと共感している。

次に『それらの根源的な問いは2つある。 ①世界はどうしてできたのか?また世界は何でできているのか? ②人間はどこから来てどこへ行くのか?そして何のために生きているのか? この問いに対して答えてきたのが宗教であり、哲学であり、自然科学である。』
この「根源的な問い」を突き付けられて目から鱗が落ちた感じであった。

特に②については私自身が悩んできたことで、非常に説得力のある言葉だと思っている。そこで昨年後半になって、改めて哲学をゼロから学んでみることに決めた。


そして『現状を把握するためには「縦(歴史)・横(現社会)・算数(エビデンス)」を学ぶことが重要である。』
私が30代後半から仕事上で悩むことが多々あり、宗教については表面的にではあるが、「仏教や神道のほかキリスト教、ユダヤ教」などを学び、特に「仏教と神道」については、この30年間、その歴史を含めて多種多様な書籍を読むことで、解決の糸口を何とか見出そうとしてきたが、堂々巡りする傾向にあった。
一方で哲学については、分かったようで分からないまま来ており、「哲学と宗教全史」だけでなく、この1年はいろいろな哲学入門書からウェブ検索・ユーチューブなどからも、多くの刺激と気付きを得ることができた。

今まさに世界はコロナ禍の中でデジタルシフトが急激に進み、「激変時代」を迎えていると強く感じており、「世界や日本の歴史(大半が戦乱の歴史)」「東洋哲学と西洋哲学の比較」「神仏儒融合の歴史」「国学、朱子学、陽明学の歴史と思想」などを「世界を丸ごと理解する」ために学ぶことができ、多くの事象やそれらの関連性に対する「私自身のモノの観方」が大きく変わった気がする。今までになかった「多面的に想像を膨らませる力」が持てるようになったと感じている。

中でも「日本人の精神が、どのような歴史の中で形成されているのか?」は、私の探究心をくすぐるテーマの一つであったが、少し全体像が見えてきた感じがしている。


今からの日本を担う人材には、是非、明治維新を動かした「国学(日本精神)・陽明学(現状打破)・朱子学(現状維持)」の歴史的位置づけを理解し、特に現在の日本人に不慣れな「陽明学」への理解を深めることで、「多面的に想像を膨らませる力」を持つことをお薦めしたい。
日本人精神の原点には「互譲互助・無我無私の精神」があり、日本の「多文化融合」の歴史が、今後の世界平和をリードしていくことに期待している。