■年度の始まり

  早いもので、今年も桜の季節を迎えている。
 熊本では例年4月初めには桜が散ってしまっているのだが、今年は東京よりも1日遅れて
 4月1日にようやく開花宣言もでて、今から花見の季節を迎えることになりそうである。
  
  4月は「年度の始まり」であり、学校では入学式のシーズン、企業では入社式及び
 人事異動のシーズンを迎えるが、私自身も仕事上で毎年、節目を迎えることになる。
 それに加えて、今年度は5年ぶりに大きな仕事上の節目を迎えることになりそうで
 ある。脱サラして10年経つわけだが、製造業のプロコンを目指して5年、それから
 行政に片足を突っ込んで(財団の仕事に携わって)5年が過ぎ、また今年度からは
 新たな仕事上での節目を迎えることになるが、そのことについて述べておきたい。
 
  10年前の脱サラにあたっては、「自分を思うように活かせないまま会社勤めを続けるのではなく、何とか
 もっと自分自身の活躍の場を見出したい。その答は会社勤めの中にはなく、また新たに自分の仕事を
 見出すには気力・体力のある40歳代から新たなスタートを切りたい。」との「思い」をすべてに優先して、
 先の準備も全くないままに49歳11ヶ月で脱サラをしたわけだが、無謀さと同時に決断の正しさを心から
 感じている。しばらくは会社勤め時の垢を落としてリフレッシュするために、何もしない時期を3ヶ月ほど
 過ごしたあと、今から何をやるかと思いをめぐらした結果、自分を活かす道として「製造業のコンサルタント」
 を目指すこととした。仕事を始めるにあたり、会社や肩書きの看板は何の役にも立たないことが分かって
 おり、社会に受け入れてもらうために中小企業診断士の資格を取得することを決め勉強を始めた。工鉱業
 部門を受験したわけだが、1年目で1次試験を、2年目で2次試験をクリアすることができ、3次実習を
 受けて中小企業診断士の資格を取得することができた。おかげさまで、その後の仕事の立ち上がりもスム
 ースに行ったほうである。50歳前後になってからの2年間の受験勉強をとおして実感したことは、「いくつに
 なってからでも、やる気をもって事にあたれば、大抵のことはクリアできる」ということである。
 
  5年前に中小企業基本法の抜本改正が行われ、中小企業指導法も中小企業支援法に切り
 替わったときに3類型の支援センター構想の中の県中小企業支援センターが新たに発足
 することとなったが、今までお世話になったことのある県の方からそのプロジェクトマネー
 ジャーになるように要請を受け今までの仕事をある程度整理縮小してその任を受けたわけで
 あるが、このことが私の人生に与えた影響は計り知れないものがある。
 中小企業支援センターのプロジェクトマネージャーをやることになったことで、JANBOのインキュベーション
 マネジャー・インストラクターも受けることとなり、経済産業省、中小企業庁、日本立地センター、 九州経済
 産業局、中小企業基盤整備機構との強い繋がりも持つことができるようになった。そして、全国に多岐に
 わたる人脈をつくることができた。地域中小企業の支援についても、当初想定していた熊本県だけでなく、
 九州そして日本全国にも広がる結果となり、活動を通して『昔は「中央から地域に発信」の世界だった
 のが、「地域から中央に発信」という世界も成り立つ』ことを実感している。
 
  私は脱サラして以来、前年末に「今年度目標」を立てることにしているが、節目を迎えるとき
 には必ず刺激と同時に戸惑いを感じるている。それは、今までと異なる知識・思考や視点を
 持つことが必要となるために、ペースづくりには、それなりの時間を要することになるからだと
 考えている。
 今年度も、過去の5年間の活動による様々な縁から、新たな活動への参画要請を受けることと
 なったが、丁度私は還暦という節目も合わせて迎えることもあり、2005年の新たなチャレンジ
 に対して期待を膨らませるとともに、今は刺激と戸惑いを感じているところでもある。