■自社の底力を高めよう!

  今や戦後60年を迎えようとしていますが、平成2年にバブル崩壊した後の「時代の変化」について
 産業界・学校・行政・個人それぞれが強く実感しており、多くの方々が「このままではいけない。しかしどう
 すればいいのか分からない。」と不安を抱えながら今日を迎えていると思います。先ず「時代の変化」を
 多面的にイメージできるように、いろんな視点から変化を以下に示してみます。
  @先が読める時代(前例主義)
  A高度成長の時代(拡大志向)
  
B多品種少量→少品種多量の時代
  Cインフレで借入金経営の時代
  
D「寄らば大樹の陰」の時代
  
E給料は上がるのが当然の時代
  F終身雇用・年功序列の時代
  
G学校を出たら勤め口がある時代
  H一億総中流の時代
  I護送船団方式の時代
  J自分の考えや意見が不要な時代
  K座学重視の時代(知識の教育)











 未知への対応の時代(変革・挑戦)
 低成長・マイナス成長の時代(競合)
 変種変量の時代
 
デフレで自己資本充実の時代
 
大企業・行政もリストラされる時代
 給料は下がるかもしれない時代
 
キャリアアップ・能力主義の時代
 
フリーターやニートが増えていく時代
 富の2極化の時代(低所得者層の激増
 競争原理重視の時代(自己責任の時代
 
自分の考えや意見を求められる時代
 
実践重視の時代(智恵の教育)

  上述の内容から、何となく「時代の変化」を感じることができたでしょうか。
 この変化に対して、多くの有識者の方々が「高度成長から低成長時代に移行しており、今までとは考え方
 ・やり方を変えなければならない」とか、「明治時代以降、一貫して行ってきた『キャッチアップモデル』からの
 脱却が大切である」などと、変化への対応の重要性を述べておられます。
  別の視点からの「時代の変化」を示す帝国データ
 バンクの資料があるので紹介しておきます。「創業
 から倒産までの経過年数」というタイトルの
 資料ですが、この10年での変化の激しさには
 非常に驚かされてしまいます。(右図参照)

  創業30〜50年経った老舗企業の倒産構成比率が
 9%から30%に大幅増加している反面、創業5〜
 10年の企業の倒産構成比率は23%から9%と
 大幅減となっています。即ち老舗の暖簾が通用せ
 ずに、実力のない企業はどこであろうと淘汰される
 時代となり、企業の新陳代謝が急激に進み始め
 ているということではないかと思います。熊本でも
 思い当たるケースがいろいろあります
さらにもう一つ、中小企業イノベーション
研究会で発表された「業界ごとの5年間
での付加価値額伸び率分布」に関する
資料があります(左図参照)。
これは見てお分かりの通り、業界動向
によって付加価値額伸び率ゼロの
位置が2割ほどばらついていますが、
衰退業界であろうが成長業界であろ
うが、5年間で付加価値額を伸ばして
いる企業もあれば、減らしている企業
もあるという客観的なデータです。従っ
て、生き残りに智恵を絞る必要はあり
ますが、衰退業界にいるからといって
悲観する必要はないともいえます
  
  
このような時代に生き残っていくためには、自社が「ユーザーから絶対に必要とされる企業」で居続ける
 ことが大切であり、それが適わなければ新たな事業展開やユーザー開拓、市場開拓をしていくことが必要
 となるでしょう。今からの中小企業は、攻めの姿勢を忘れず、自ら発信し、競合他社とのニッチ・差別化を
 図り、オンリーワン企業を目指すことが望まれます。言葉を変えていうと「自社の底力を高めること」が
 非常に大切になるのではないでしょうか。
 
  
地場の中小企業を支援するために存在する当財団においても、「資金的支援や受注支援」などのハード
 支援(即効薬的な支援)も必要で行ってはいますが、それ以上に「経営戦略・戦術的支援や人材育成
 (技術力や企画力・管理力など)支援」などソフト支援(漢方薬的で、成果が出るまでに時間がかかる支援)
 を行うことで「企業の底力を高めること」の大切さが真剣に論じられています。

  このような先の読みにくい時代の経営者としては、どうしても目先に追いまくられ、つい即効薬的なハード
 施策を優先しがちになりますが、長期的なスパンで客観視してみると、経営戦略や地道な人材育成などの
 ソフト施策に力点を置くことも、企業にとってさらに重要になっているのかもしれません。
 というような、とりとめのない雑文の中から、今からの経営に役立つヒントを、一つでも見出していただけ
 れば、ありがたいと思います。